松本市の山男です。
今回は、『中高年の登山者が意識すべきこと』という山トークになります。
中高年の登山者が遭難をしてしまわないために、何を意識すべきかについて山トークをします。
日本百名山を短期間で完登(146日間)した経験や、夏も冬も北アルプス登山をしてきた経験に基づいたお話しになります。
中高年の登山者は、以下が徹底できていないという事実があります。
・山をなめないこと
・自分を過信しないこと
上記を、意識していない、または意識していたとしても意識が甘いため、中高年の山岳遭難が多発しているという事実があります。
※十分に意識をしていたとしても、遭難をされた方もいると思います。山は無慈悲です。
夏山シーズン真っ只中。
中高年(40代以降)の山岳遭難件数が過去最多となっています(2025年夏山シーズン)。
とても残念で、悲しいことです。
僕が住む長野県は、日本一、山岳遭難が多い都道府県です。
北アルプスなどの山々があるため、そもそもの登山者の母数が多いのが要因の一つですが、今年、2025年の夏山シーズンは過去最悪のペースで遭難が増え続けています。
そして、遭難者の7割以上が50歳以上の中高年です。(2025年8月の新聞記事より)
実際に遭難された方にはスパルタになってしまうかもしれませんが、山岳遭難を少しでも減らしたいという思いからあえて言わせてもらいます。
・山を甘く見ない
・自分を過信しない
上記を徹底していない結果、遭難をしてしまうのです。
または、意識はしていたとしても、意識が甘いということです。
中高年の登山者でも、多数の方はしっかりと意識ができているとは思います。
また、上記の2点は中高年に限らず、登山者全員が意識すべきことです。
2点をしっかりと意識をしているという登山者も、再確認をすべきことです。
かくいう僕も中高年なので、自分への戒めとしてもこの記事を書いています。
※僕の登山ブログをお読みいただく上でのご注意 → こちらからお読みください。
遭難をする可能性を0%にすることは不可能です。
どんなに気を付けて登山をしても。
どんなに登山のためのトレーニングを積んで登山に臨んでも。
どんなに万全な装備で登山をしても。
遭難をする可能性を0%にすることは不可能です。
なぜなら、無慈悲で容赦のない自然の中で行動するのが登山だからです。
山をなめると、自分を過信すると、自然は容赦してくれません。
無慈悲に登山者の命を奪っていきます。
厳しい自然をなめて登山をすると、自分の甘さを痛感することになります。
そして、痛感した時にはすでに遅い(命を失う)ケースがあるのが登山です。
登山中には自身がギブアップ宣言をしても、基本、誰も助けてくれません。
平地のように近くに救急隊はおらず、医者はおらず、医療設備は無く、救急車がすぐに駆け付けれない、ヘリコプターもすぐにかけつけれないのが山です。
なめていなくても、自分を過信していなくても、遭難をしてしまうのが登山です。
標高の高い山々では、台風並みの暴風雨が吹き荒れるのが日常です。
そして、急に天候が崩れるのが山です。
身動きが取れないレベルの強風が吹き、身動きが取れなくなったところにも容赦なく強風が吹きつけます。
強風は体から容赦なく体温を奪っていきます。
雨や汗で体が濡れているところに強風が吹きつければ、体温が奪われるスピードは加速します。
山では誰もすぐには助けに来てくれません。
夏山であっても、荒れた稜線の雨、風は刻々と、容赦なく、生きるための体温を奪っていきます。
夏であっても、低体温症に陥り命を失うリスクがあるのが山です。
ギブアップも、ストップも通用しないのが、山であり、自然なのです。
だからこそ、以下を意識すること、胸に刻み込んで登山をすることが重要なのです。
・山をなめない
・自分を過信しない
それぞれを具体的に説明すると以下のとおりです。
遭難をしないために登山者が意識すべきこと
山をなめない
山をなめないとは、山の、自然の、登山の厳しさを知るということです。
厳しい自然の中で行動する結果、自分の体にどのような負荷がかかるかを知ること。
登山という行動をする結果、体にかかる負荷を知ること。
上記の2点が重要です。
登山で体にかかる負荷については、こちらでくわしく書いています。
自分の体が負荷に耐えれなかった結果、体力が尽き、行動不能となり救助要請をせざるを得ない。(山は基本、携帯の圏外です。救助要請ができるとは限りません。)
負荷がかかった結果、思考力、判断力が鈍り、加えて体が言うことを聞かなくなり、転倒、滑落してしまう。
登山で体にかかる負荷を知り、負荷に耐えられるようにトレーニングをするということが重要です。
登山のためのトレーニングについては、こちらの記事でくわしく書いています。
遭難をしないために登山者が意識すべきこと
自分を過信しない
自分を過信するとは、具代的に以下のようなことです。
・近場の山を登山した時に余裕で登れたから北アルプスも登れるだろう。
・以前に富士山に登った実績があるから、今回も富士山に登れるだろう。
・すでに北アルプス登山を経験しているから、難易度の高いことで知られる大キレット(北アルプスの難所)を登山しても問題ないだろう。
・岩場、鎖場の経験もしてきたから、情報収集せずに鎖場のメッカの山に登っても大丈夫だろう。
・雨予報だけど、仮に雨に降られても問題なく登頂できるだろう。
以上が、自分を過信することの例になります。
山をなめるにも通じています。
意識すべきことは、自分の体力、技術・技量に合った登山をするということです。
山のガイドブックの中には、各山の体力度、危険度を段階評価しているものがあります。
僕は登山を始めたころは、こちらの本で各山の難易度を確認していました。
分県登山ガイド 15 長野県の山
ガイドブックなどを参考にして、体力度、危険度が低い山から段階的に、体力度、危険度が高い山に登山をすることが重要です。
体力度3、危険度3の山に登ったことがないのに、いきなり体力度5、危険度5の山に登るのが極めてリスキーなのは明らかです。
ゲームと違い、登山にはコンテニューはありません。
場合によっては、1回でゲームオーバー、命を失うことになります。
こんなに危険度の高い鎖場だと思わなかった。
戻るとしても危険度が高いし、進めそうにもないし、救助要請をせざるを得ない。(山は基本、携帯の圏外です。救助要請ができるとは限りません。)
そうならないためにも、登山前に情報収集し、自分の体力、技術、技量に合った登山をすることが重要です。
情報収集は、山小屋のホームページ、本、山レコやYAMAPなどの登山レポート、山行記録でするのが基本です。
ただし、山レコやYAMAPなどでは、一般的には難易度が高いと言われているルートを『楽勝だった、余裕だった』というように報告しているケースもあるので、鵜呑みにするのは禁物です。
登山前の情報収集は基本です。
そして、自分を過信しないことです。
自分ならいける、自分なら大丈夫、以前に登れたから、などなど、平地とは違い、楽観視して行動した結果、取り返しのつかない(命を失う)ことになるのが山なのです。
登山経験者の過信については、こちらの記事でくわしく書いています。
遭難をしないために登山者が意識すべきこと
山の雨風について
山をなめないの補足的な内容になります。
絶対に山の雨風をなめてはいけません。
標高の高い山では、夏山登山でも低体温症に陥るリスクがあります。
事実、今シーズンも低体温症で命を落とされた方がいます。
森林限界を超えた稜線や山頂などは、雨風に容赦なく吹きさらされるので、夏であっても雨風の日は極めて危険です。
山では、例え、天気予報が晴れであっても、天候が急転し、荒天となることがあります。
山の雨風への対策として重要なことは、あらかじめ荒天で行動することの経験をしておくということです。
例えば、平地の雨の中で行動をしたこともないのに、3000m級の山の雨風の中で行動することができるでしょうか?
山の雨風は平地よりも厳しく、加えて体には雨風以前に登山による負荷がかかっています。
平地の雨であれば、基本、遭難をすることはないので、登山者は雨の日や風の強い日にこそウォーキングをしたりランニングをすべきです。(気象庁などから不要不急の外出をしないよう呼びかけられている時などは別です。)
そうすることによって、雨の中で行動することがどういうことなのか身をもって知ることができます。
登山用レインウェアを着て雨の中で行動するとはどういうことなのかを知ることができます。
また、精神的、肉体的に雨に慣れることができます。
ただし、ここで言う雨に慣れるは、『経験もせずにいきなり山で雨風にあうよりはマシ』ということで、どんなに厳しいトレーニングをしても、山の厳しい雨風に順応することは不可能です。
想定外に、やむを得ず雨の登山になってしまうケースに備え、平地や低山で雨に慣れておくという意識です。
登山用のレインウェア、保温着などが必要であることは言うまでもありません。
また、山小屋泊を予定している場合、以下のようなケースが起こりえます。
山頂付近の山小屋泊(森林限界を越えた場所)の予定で、山小屋まであと少し。
しかし、山小屋周辺は荒天で、体が吹き飛ばされレベルの強風で極めて厳しい状況。
この場合、無理をして山小屋に行こうとすれば、強風で行動不能となり、低体温症で命を落とす危険性があります。
山小屋に行くのを諦めて撤退する場合、歩いてきた道を戻るだけの体力があるのかがポイントとなります。
体力がなくビバーク(緊急の野宿)をする場合、ビバーク装備の有無はもちろん、十分な食料、十分な水分があるのかがポイントとなります。
僕は日帰り登山が基本なので、日帰り登山ができる行程を計画します。
なので、登山中に荒天などにより進むことが危険だと判断をすれば、登山口まで戻ることができます。(登頂しようが、途中で引き返そうが、そもそも、その日のうちに登山口まで戻るという計画なので。)
しかし、山小屋泊(山小屋での睡眠・休息)を計画している場合、荒天により山小屋に行くことが困難になるケースも想定する必要があるということです。
ビバークする必要、長い道のりを引き返す必要が出てくる可能性があるということを想定し、登山計画を立てる必要があります。
まとめ
以上、『中高年の登山者が意識すべきこと』というテーマのブログ記事でした。
・山をなめない
・自分を過信しない
・山の雨風について
登山の絶対的な目的は、無事に家に帰ることです。
登山で絶対にしてはいけないことは、命を失うことです。
無事に家に帰れないことが起こりえる、命を失ってしまうことが起こりえる。
それが登山です。
山は、自然は無慈悲です。
なめている登山者、過信している登山者からは容赦なく命を奪います。
山の、自然の厳しさをしっかりと認識する。
自分を過信しない。
しっかりとトレーニングをする。
しっかりと下調べをする。
そうやって登山をすることが、安全登山につながり、より充実した登山につながります。
そして、忘れてはならないのは、それでも遭難をしてしまうのが登山だということです。
このブログ記事が、少しでも山岳遭難の防止に役立てば幸いです。
『遭難対策などについて書いた記事』をこちらでまとめています。この登山ブログに書いた記事になります。
山はおそろしい 必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難 (幻冬舎新書)
レスキュー最前線 長野県警察山岳遭難救助隊
『日帰り登山のノウハウ』をこちらでブログ投稿しています。日本百名山の完登、毎週末の北アルプス登山で身に着けたノウハウになります。
『僕の登山装備(登山ウェア含む)』をこちらで一覧で紹介しています。お問い合わせいただくことが多いので。
スポンサーリンク




