山岳遭難者の救助にかけつけた長野県警のヘリコプターのやまびこ号

登山で遭難しないために意識すべきこと【山で命を失わないために、体にかかる負荷の認識を】

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松本市の山男です。
 
 
 
今回は、『登山で遭難しないために意識すべきこと』という山トークです。
 
 
遭難することを目的に登山をする登山者は、基本、いないと思います。
 
 
しかしながら、どんなに万全な準備をしても、どんなに気を付けても、遭難をする可能性を0%にすることはできません。
 
 
なぜなら、厳しく無慈悲な自然の中を行くのが登山なので。
 
 
山は登山者を容赦なく死に至らしめます。
 
 
とはいえ、山は厳しく無慈悲なフィールドではありますが、意識と準備により、山岳遭難をしてします可能性を減らすことはできます。
 
 
 
 
毎年、夏山登山シーズン、冬山登山シーズンともに、残念ながら遭難事故のニュースを見聞きします。
 
 
特に、今年の夏山シーズン(2025)では、残念なことに毎日のように山岳遭難のニュースを見聞きします。
 
 
今回は、そんな遭難事故を減らすために少しでも役に立てばと思い、『登山で遭難しないために意識すべきこと』について山トークをします。
 
 
僕は一般登山者ですが、以下の実績などに基づいた山トークになります。
 
 
・遭難することなく、146日間で日本百名山の100座すべてに登頂した経験
 
 
・遭難することなく、夏山シーズン、冬山シーズンともに北アルプス登山をしてきた経験。
 
 
 
 
遭難をしてしまう要因のひとつに疲労があります。
 
 
 
 
まずは、登山で疲労をしてしまう要因(登山で体にかかる負荷)についてご説明します。
 
 
 
 
※本記事は、一般登山者である筆者が自身の経験をもとに、山岳遭難を防ぐために意識していることを書いたものです。安全な登山を保証するものではなく、すべての状況において適用できるとは限りません。登山は自然を相手にする活動であり、予測不能な危険が伴います。実際の登山においては、最新の天候情報・地図・登山届・装備の準備などを十分に行い、ご自身の判断と責任に基づいて行動してください。本記事の内容に基づいて登山をし、生じた事故や損害等について、筆者および本サイトは一切の責任を負いかねます。あらかじめご了承ください。
 
 
 
 
※僕の登山ブログをお読みいただく上でのご注意 → こちらからお読みください。
 
 
 
 

登山で体にかかる負荷

登山では主に以下の負荷が体にかかります。
 
 
・重力による負荷
 
 
・酸素が薄いことによる負荷
 
 
・ザックを背負うことによる負荷
 
 
・睡眠不足による負荷
 
 
・山の気象による負荷
 
 
・渇きによる負荷
 
 
・山泊の負荷
 
 
 
 
それぞれについては、以下のとおりです。
 
 
 
 
登山で体にかかる負荷①

重力による負荷

登山では、重力に逆らって上へ上へと登るので、心肺と筋肉に負荷がかかります。
 
 
また、下山時は、下方向に勢いがついている体を、足の筋肉でコントロールする必要があります。
 
 
一般的に、登山では下山時の方が足に負荷がかかると言われています。
 
 
登りでも下りでも、登山では体に負荷がかかります。
 
 
 
 
登山で体にかかる負荷②

酸素が薄いことによる負荷

標高が上がれば上がるほど酸素が薄くなります。
 
 
心臓や脳に酸素が届きにくくなります。
 
 
体への酸素の供給が不足すると、頭痛や吐き気など、高山病の症状が出ます。
 
 
 
 
登山で体にかかる負荷③

ザックを背負うことによる負荷

登山では、上記の①と②の負荷がある中で、さらに登山装備が入ったザックを背負います。
 
 
荷物を背負えば、体に負荷がかかります。
 
 
 
 
登山で体にかかる負荷④

睡眠不足による負荷

登山の基本は早出早着(はやではやちゃく)です。
 
 
早く登山を開始し、早く登山口に下山(山泊の場合は山小屋着)するのが基本です。
 
 
早出早着については、こちらでくわしくブログ投稿をしています。
 
 
早く登山を開始するためには早く起床することになり、睡眠不足の状態で登山をするということになります。
 
 
 
 
登山で体にかかる負荷⑤

山の気象による負荷

山の天気は変わりやすく、たとえ晴れ予報であっても強風や雨に見舞われることがあります。
 
 
標高が高ければ高いほど気温が下がるので、低温による負荷も体にはかかります。
 
 
逆に、近年、平地で猛暑日となる日が増えていますが、3000m級の稜線であっても暑いときは暑く、登山においても熱中症対策が必須です。
 
 
暑さや寒さ、強風や雨や紫外線。
 
 
刻々と変わる山の気象状況、急激に変わる山の気象状況、平地よりも数段強い雨風。
 
 
山の厳しい気象状況により、体に大きな負荷がかかります。
 
 
 
 
登山で体にかかる負荷⑥

渇きによる負荷

登山道には基本、水道はありません。
 
 
水を補給できる場所は限られていますし、山によっては全く補給ができないこともあります。
 
 
かといって、大量の水を携行すると登山装備が重くなります。
 
 
登山では、場合によってはのどの渇きがある状況、体が水分不足となっている状況で行動することがあります。
 
 
そのような状況での登山は、体に負荷をかけることになります。
 
 
 
 
登山で体にかかる負荷⑦

山泊の負荷

山小屋泊でもテント泊でも、基本は普段、家で寝ている時よりも標高が高く、酸素が薄い場所で寝ることになります。
 
 
山泊では、家で寝る時に比べ、睡眠による回復が期待できません。
 
 
標高が高ければ高くなるほど、山泊中に高山病になるリスクも上がります。
 
 
また、山泊では、家のようなプライバシー確保は期待できません。
 
 
他の宿泊者のいびきがうるさくて眠れないということもあります。
 
 
 
 
登山では、以上の負荷が、複合的に体にかかることになります。
 
 
 
 

負荷がかかった結果、起こりえること

上記の『登山で体にかかる負荷』で書いたとおりの負荷が体にかかり、疲労をした結果、以下の状況に陥る可能性が上がります。
 
 
①集中力の低下
 
 
②判断力の低下
 
 
③体の運動機能の低下(足が上がらなくなるなど)
 
 
④疲労による行動不能
 
 
 
 
集中力、判断力、運動機能の低下により、転倒や滑落をしてしまうリスクが上がります。
 
 
そのような状況で、岩場や鎖場などの難所を通過するのは非常に危険です。
 
 
登山ルート上で、難所がどこにあり、どのタイミングで通過するのかを織り込んで、登山計画をたてることが重要です。
 
 
体力的に余裕があるタイミングで、難所を通過するように計画をたてるのが理想です。
 
 
無理のない登山計画を立てることが何よりも重要です。
 
 
僕はソロ登山者なのでグループ登山の事情はよく分かっていませんが、グループ登山の場合、登山計画を把握せずに参加するのはやめるべきです。
 
 
必ず事前に登山計画を確認し、自分には自信がない行程であればその山行は不参加とするべきです。
 
 
グループ登山、登山ガイドとの登山であっても、最終的に自分の身に、自分の命に責任を持つのは自分です。
 
 
 
 

登山で体にかかる負荷への対策

ここまで書いてきたとおり、登山では複合的な負荷が体にかかります。
 
 
だとすれば、平地で体に負荷をかけ、体に負荷がかかる状況で行動をすることに慣れておくことが重要です。
 
 
また、負荷に耐えられる体にしておくことが重要です。
 
 
山で動き続けることができるように、平地でトレーニングあるのみです。
 
 
もちろん、里山でのトレーニング、実際に登山をすることによるトレーニングも効果ありです。
 
 
トレーニングによって、登山力を上げることが大切です。
 
 
登山力を上げるためのトレーニングについては、こちらでブログ投稿をしています。
 
 
 
 

以前は登れたは通用しません

『数年前に登れたから、今回も大丈夫だ。』
 
 
『以前に登れた』は、絶対に根拠としてはいけません。
 
 
例えば、『今現在も十分にトレーニングをしており、継続的に登山をしている』ということであれば別ですが、数ヶ月、数年もの間、登山をしておらず、久しぶりに登山をする場合は『以前に登れた』ほどあてにならないものはありません。
 
 
大事なことは、今どれだけの登山力があるかです。
 
 
それは、山でしか測ることができません。
 
 
ブランク明けの登山は、低山から高山に、行程が短い山行から長い行程に、段階的に体を慣らしていく必要が有ります。
 
 
 
 
『以前は登れたは通用しません』については、こちらでくわしく書いてます。
 
 
 
 

まとめ

以上、『登山で遭難しないために意識すべきこと』ということで山トークをしてきました。
 
 
・登山で体にかかる負荷
 
・負荷がかかった結果、起こりえること
 
・登山で体にかかる負荷への対策
 
・以前は登れたは通用しません
 
 
 
 
登山の最大の目標は、『無事に家に帰ること』です。
 
 
目標達成のためには、山は厳しい場所だということを常に意識することが重要です。
 
 
また、自分の登山技術、登山力を過信してはいけません。
 
 
自分には、目の前の岩場や鎖場は無理だと思えば、引き返すという選択肢も検討すべきです。
 
 
そして、引き返すための体力も意識しながら行動(登山)をすべきです。
 
 
登山において、自分の身の安全、自分の命に責任を持つのは自分です。
 
 
そして、責任を全うするためのいしずえとなるのは登山力です。
 
 
登山力をつけること、自分の身の丈にあった登山をすることが、登山者の鉄則です。
 
 
その鉄則を守らなければ、山は容赦してくれません。
 
 
 
 
遭難しないために意識すべきこと(負荷以外のこと)』をこちらにまとめています。
 
 
 
 
 
山はおそろしい 必ず生きて帰る! 事故から学ぶ山岳遭難


 
 
 
 
 
『日帰り登山のノウハウ』をこちらでブログ投稿しています。日本百名山の完登、毎週末の北アルプス登山で身に着けたノウハウになります。
 
 
 
 
 
『僕の登山装備(登山ウェア含む)』をこちらで一覧で紹介しています。お問い合わせいただくことが多いので。
 
 
 
 
 

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