爺ヶ岳(標高2669.8m)と鹿島槍ヶ岳(標高2889m)は、後立山連峰(うしろたてやまれんぽう)の山で、中でも鹿島槍ヶ岳は後立山連峰の主役級の山です。
扇沢から爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳南峰までは岩場、鎖場などの難所も無く、僕の中ではがむしゃらに登ることを満喫できる登山ルートです。
また、登山道沿いに川や沢が無いため、万が一、登山中に大雨となった場合でも、増水などにより停滞を余儀なくされるということが無いに等しいルートになります。
登山で歩を進める爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳の山容がすばらしいのはもちろんのこと、剱岳や五竜岳といった北アルプスの主役級の山々も眺めることができます。
爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳は雷鳥も多く生息しており、高山植物も見応えがあるものばかりです。
このブログ投稿では、
扇沢からの爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳登山について、登山時のポイントと、見どころなどについて紹介をします。
冷池乗越付近から撮影した鹿島槍ヶ岳です。
赤い屋根の山小屋は冷池山荘です。
扇沢からの爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳登山の経由地
扇沢~柏原新道~種池山荘~爺ヶ岳南方~爺ヶ岳中峰~冷池乗越~冷池山荘~布引岳~鹿島槍ヶ岳南峰~鹿島槍ヶ岳北峰
ちなみに読み方は、爺ヶ岳(じいがたけ)、鹿島槍ヶ岳(かしまやりがたけ)です。
扇沢からの爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳登山をザックリいうと
扇沢から種池山荘まではがむしゃらに登って、歩いて、登って。
種池山荘から冷池山荘まではアップダウンあり。
冷池山荘から布引岳、鹿島槍ヶ岳南方までは疲れた体でひたすら登り。
元気があれば鹿島槍ヶ岳北峰まで。
鹿島槍ヶ岳南峰までは鎖場などの危険個所はありませんが、鹿島槍ヶ岳南峰~北峰は若干の岩場となります。
ルート上のポイント 扇沢からの爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳登山
柏原新道(扇沢~種池山荘)
石の上を歩く個所が多いので、雨で濡れているときなどははスリップをしないように特に注意が必要です。
残雪がある場合があるので、雪に慣れていない登山者は軽アイゼンを携行した方が良いです。(残雪をトラバースする箇所は20mほどですが。)
落石注意の看板がある箇所が2~3箇所あるので、速やかに通過を。
天候に恵まれれば富士山を眺めることができます。
種池山荘までの最後の登りは心臓破りの登りとなっています。(鉄砲坂の看板が目印です。)
柏原新道の残雪地帯。2019年6月30日に撮影。
軽アイゼンについてはこちらでブログ投稿をしています。
種池山荘~冷池山荘
爺ヶ岳南峰までは登りとなり、南峰から冷池山荘まではアップダウンがあるため、アップダウンを心づもりしながら歩きます。
種池山荘から爺ヶ岳南峰への登り。
冷池山荘~布引岳~鹿島槍ヶ岳南峰
布引岳までも登りとなりますが、その先の鹿島槍ヶ岳南峰までも登りとなります。
扇沢から登り、アップダウンを歩いてきた疲労があるため、きつい登りとなります。
布引岳から鹿島槍ヶ岳南峰への登り。
鹿島槍ヶ岳南峰~鹿島槍ヶ岳北峰
鹿島槍ヶ岳南峰から北峰はコースタイムで約25分。
南峰を少し下り、稜線を歩いてから若干、登り返すと鹿島槍ヶ岳北峰になります。
鹿島槍ヶ岳南峰からの下りは斜度があり、ちょっとした岩場です。
落石も起こりやすいので注意が必要です。
鹿島槍ヶ岳南峰から北峰に向かう時、北峰から南峰に戻る時ともにヘルメットの着用が望ましいです。
僕は必ずヘルメットをするようにしています。
鹿島槍ヶ岳南峰からみた鹿島槍ヶ岳北峰
鹿島槍ヶ岳北峰から見た鹿島槍ヶ岳南峰
復路(鹿島槍ヶ岳北峰~鹿島槍ヶ岳南峰~爺ヶ岳南峰)
疲労が蓄積した体にアップダウンの連続なので、気合が必要です。(日帰り登山の場合。)
特に爺ヶ岳周辺はツキノワグマに注意が必要
北アルプスはツキノワグマが生息しているので全体的に注意が必要ですが、爺ヶ岳周辺は目撃情報が多い年もあるので、特に注意が必要な山域だと思います。
熊対策についてはこちらで詳しくブログ投稿をしています。
水場とトイレ
扇沢の登山口から爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳まで、天然の水場はありません。
種池山荘、冷池山荘ともに有料で水の補給をすることができます。また、種池山荘、冷池山荘ともに外トイレがあります(有料)。
柏原新道登山口の駐車場
爺ヶ岳柏原新道登山口にはいくつかの駐車場があります。
・登山口に隣接する駐車場。(無料です。満車のことが多いです。)
・登山口から徒歩10分ほどの駐車場(無料です。満車ではないことが多いです。)
・登山口から15分ほどのスノーシェードに隣接した駐車場(無料です。満車のことが多いです。扇沢駅利用者や針ノ木岳方面の登山者が利用しているのだと思います。)
・登山口から20分ほどの、扇沢駅の駐車場(有料です。)
トイレがあるのは扇沢駅駐車場のみです。
見どころ 扇沢からの爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳登山
柏原新道(扇沢~種池山荘)
序盤は扇沢駅を見おろすことができます。
鳴沢岳、スバリ岳、針ノ木岳の稜線を眺めることができます。
秋は紅葉がすばらしいです。
柏原新道から見おろした扇沢駅
鳴沢岳方面の稜線
針ノ木岳(右奥)とスバリ岳(右手前)
種池山荘~爺ヶ岳~冷池山荘~鹿島槍ヶ岳
爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳の稜線と山頂は見どころが満載です。
・雷鳥
・剱岳と立山
・爺ヶ岳からの眺め
・鹿島槍ヶ岳からの眺め
・高山植物
それぞれについて説明をします。
雷鳥(爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳の見どころ)
種池山荘から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳まで、広くハイマツ帯となっています。
ハイマツが分布しているということは雷鳥が暮らしていますので種池山荘から爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳は、広く雷鳥が生息しており、僕自身、何回も雷鳥に会うことができています。
布引岳付近で撮影したオスの雷鳥です。
『雷鳥会うためのポイント』についてはこちらでブログ投稿しています。
剱岳と立山(爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳の見どころ)
爺ヶ岳から鹿島槍ヶ岳の稜線、登山道では、岩と雪の殿堂と言われる剱岳を眺めることができます。
剱岳の雪渓まで、しっかりと眺めることができます。
爺ヶ岳からの眺め(爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳の見どころ)
爺ヶ岳からは剱岳を眺められることに加え、以下も見どころになります。
・双耳峰(そうじほう)である鹿島槍ヶ岳を眺めることができます。双耳峰とは、ピーク(山頂)が2つある山のことを言います。ちなみに、爺ヶ岳も双耳峰となっています。爺ヶ岳は正確には南峰、中峰、北峰の3つのピークからなっており、登ることができるのは、南峰と中峰です。
・爺ヶ岳からは、ハイマツの緑に浮かぶ種池山荘のオレンジ色の屋根を眺めることができます。種池山荘の後ろには、剱岳がそびえ立っています。
爺ヶ岳南峰から眺めた鹿島槍ヶ岳
種池山荘の向こうに剱岳(右)
鹿島槍ヶ岳からの眺め(爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳の見どころ)
鹿島槍ヶ岳からは剱岳に加え、五竜岳、白馬岳方面を眺めることができます。
特に八峰キレットから五竜岳に続くルートの眺めが圧巻です。
また、種池山荘から歩いてきた爺ヶ岳の稜線を眺めることもでき、そちらの景色も圧巻です。
鹿島槍ヶ岳南峰から眺める五竜岳
鹿島槍ヶ岳南峰から眺める爺ヶ岳の稜線
爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳の高山植物(爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳の見どころ)
・種池山荘から爺ヶ岳南峰は、チングルマが群生しています。
・爺ヶ岳南峰と中峰の間のコルのあたりの一部分だけに、コマクサを見ることができる場所があります。
・布引岳から鹿島槍ヶ岳南峰にはハクサンイチゲが群生しています。
爺ヶ岳で撮影したチングルマ
爺ヶ岳で撮影したコマクサ
鹿島槍ヶ岳で撮影したハクサンイチゲ
以上、爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳の見どころでした
爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳のテント場
・爺ヶ岳(種池山荘)のテント場は展望がありません。過去にはツキノワグマの出没により閉鎖されたこともあります。外トイレありです。
・鹿島槍ヶ岳(冷池山荘)のテント場からは剱岳を眺めることができます。冷池山荘の外トイレまでは10分ほど歩く必要があります。
種池山荘のテント場
冷池山荘のテント場からは剱岳(右)を眺めることができます。
松本市、安曇野市から眺める爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳
爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳はともに双耳峰です。
できることであれば、松本市、安曇野市から爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳の美しい双耳峰の山容を見上げてから、実際に歩くと感慨もひとしおだと思います。
双耳峰のアップダウンを 笑 より満喫することができると思います。
左側の矢印が爺ヶ岳、右側の矢印が鹿島槍ヶ岳です。松本市から撮影。
黒い点はカメラのレンズが・・・。
まとめ 爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳登山のポイントと見どころ
以上、扇沢からの爺ヶ岳・鹿島槍登山のポイントと見どころについて紹介をしてきました。
爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳登山の特徴の一つは、爺ヶ岳、鹿島槍ヶ岳自身の素晴らしい稜線と、剱岳の雄姿を見ることができるところにあると思います。
道中の稜線では雷鳥と会うことができる可能性もあり、高山植物も豊かです。
僕は2017年に146日間で日本百名山を完登しましたが、
扇沢からの爺ヶ岳・鹿島槍ヶ岳登山は、日本百名山の中でもトップクラスにおすすめの登山ルートです。
爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳が掲載された「山と高原地図」
『僕のおすすめ登山ルート【主に北アルプス】』を、こちらでご紹介しています。
『日帰り登山のノウハウ』をこちらでブログ投稿しています。日本百名山の完登、毎週末の北アルプス登山で身に着けたノウハウになります。
『僕の登山装備(登山ウェア含む)』をこちらで一覧で紹介しています。お問い合わせいただくことが多いので。
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