北アルプスと日本海をつなぐ栂海新道
2019年8月11日に白馬岳の登山口である猿倉から登山を開始し、朝日小屋のテント場に1泊。栂海新道を歩き、翌日の8月12日に日本海の親不知までを単独で踏破しました。水場が乏しい中、アップダウンのある灼熱の登山道を歩くのは非常にハードなものでした。栂海新道の縦走して感じたポイントなどをまとめてみました。
今回の栂海新道縦走登山のルートの概要
猿倉~白馬大雪渓~白馬岳頂上宿舎~白馬山荘~白馬岳~雪倉岳~水平道~朝日小屋(テント場でビバーク)~朝日岳~黒岩山~犬ヶ岳~栂海山荘~白鳥小屋~シキ割りの水場~栂海新道登山口
栂海新道登山1日目のレポートはこちら
栂海新道登山2日目のレポートはこちら
水を補給した場所
・白馬岳頂上宿舎前の雪解け水(しっかりとした水場)
・白馬山荘でペットボトル3本を購入
・朝日小屋のテント場の水場(夜間使用不可)
(朝日小屋のペットボトル飲料は売り切れ)
・シキ割りの水場(8月の時点でかなり細い)
※栂海山荘と白鳥小屋は無人小屋のため飲料の補給は不可。周辺に確実な水場は無し。
登山口(猿倉)へのアプローチと登山後(親不知)について
今回の栂海新道の縦走は、北アルプスから登り始め親不知の海をゴールとする行程にしました。
栂海新道登山口に車をデポ。電車で自宅まで戻り、翌日に電車とタクシーで猿倉まで向かいました。
自宅(松本市)から栂海新道登山口(親不知)
車で移動し、登山口に車をデポ。
登山口から親不知駅(えちごトキめき鉄道日本海ひすいライン)
タクシーで移動。タクシー料金は2000円ほど。予約をしていなかったので、登山口から電話をして1時間ほど待った。登山口から親不知駅までの距離は約4.5km。歩くことも可能だが、歩道のない国道8号線を歩くこととなる。洞門を歩く箇所があること、トラックが行き来をする区間であることから、歩くのは危険。
親不知駅から自宅(松本市)
糸魚川駅から北陸新幹線と在来線で帰宅。
自宅から白馬駅
翌日、JR大糸線で白馬駅へ(所要時間約2時間)。松本駅の始発電車に乗っても白馬駅に着くのは8時。
白馬駅から猿倉まで
タクシーで移動。所要時間は30分ほどで料金は4000円ほど
登山後の帰路
栂海新道登山口(親不知)にデポしてあった車に乗り帰宅。
栂海新道登山口に車をデポしておくのが無難
栂海新道登山口を縦走のゴールとする場合、親不知観光ホテルに宿泊をする選択肢、タクシー(または徒歩)で親不知駅まで移動する選択肢もありますが、登山を終え、登山口に到着する時間は読めません。最悪の場合、親不知駅発の終電を逃してしまう可能性もありますし、タクシー会社の営業時間外の到着となる可能性もあります。また、親不知観光ホテルのチェックインに間に合わない可能性もあります。そうなった場合、登山口で一夜を明かすことになる可能性もあるので、登山口に車をデポしておくのが無難だと思います。
親不知観光ホテルの利用
栂海新道登山口には親不知観光ホテルが隣接しています。日帰り入浴もできるようです。親不知観光ホテルへの宿泊を絡めた計画を立てようとも思いましたが、確認が直前だったためか予約で一杯でした。栂海新道から登山を開始する場合、ゴールとする場合のどちらでも有効に宿泊させてもらうことができそうです。
登山後は親不知観光ホテルに宿泊し、お風呂とビール。翌日にゆっくり帰路につくというのが最高だと思います。
栂海新道の厳しさ
真夏の栂海新道登山は予想していた以上にハードでした。
栂海新道の厳しさ① 暑さ
今回の登山は真夏の真っただ中だったのでとにかく暑かったです。特に黒岩山から先は標高も2000mを切るため、気温が高かったです。
栂海新道の厳しさ② 水場の乏しさ
栂海新道はとにかく水場が乏しいです。以下で触れる水場は、山と高原地図では「北俣ノ水場」以外は、夏場は涸れる旨の記載がされています。
※以下で触れる水場から山小屋までかかった時間は僕のペースでかかった時間です。僕のペースはコースタイムの7割前後です。
栂海山荘の水場は白馬岳側が「北俣ノ水場」で、日本海側の水場が「黄蓮ノ水場」です。どちらも栂海山荘からお手軽に水場にと言う距離ではありません。栂海山荘に向かう道中に補給する必要があります。
北俣ノ水場の看板。登山道から往復10分のようですがスルーしました。
栂海山荘の水場と書かれているのは、白馬岳側から栂海山荘にもっとも近い水場ということだと思います。北俣ノ水場から栂海山荘まで登り基調で30分以上かかりました。山と高原地図によると、栂海新道の水場の中で、最も水を補給できる可能性があります。
黄蓮の水
栂海山荘から黄蓮の水まで下り基調で40分ほどかかりました。
白鳥小屋の水場は白馬岳側が「白鳥の水場」で日本海側が「シキ割りの水場」になります。
白鳥の水場から白鳥小屋までは10分ほどでした。
白鳥小屋からシキ割りの水場までは下り基調で40分ほどでした。
朝日小屋を出発してから唯一、水を補給したシキ割りの水場。これまでの写真でお分かりのように、他の水場は登山道から外れたところにありますが、シキ割りの水場のみ登山道上にあります。シキ割りの水はとても細く、ペットボトルにためるまでそこそこの時間がかかりました。
栂海新道の縦走では、栂海山荘か白鳥小屋に宿泊するのが一般的だと思いますが、水をいかに確保するかが重要です。
栂海新道の厳しさ③ アップダウン
夏場に栂海新道を歩く場合、灼熱の上、アップダウンのある登山道を水場が乏しい中で歩くので、とてもハードな山行になります。白馬岳から先は、日本海までの最後の最後までアップダウンがあります。3000m級の北アルプスから日本海に向かうので、下り基調のはずですが、あまりその恩恵を感じることはありませんでした。登っては下り、登っては下りの繰り返しだった印象です。また、下りも筋力を使うタイプの下りが多かったように思います。
栂海新道の危険度
山と高原地図には栂海新道のルート上で危険マークが付いている箇所はありません。ただ、ところどころにやせた尾根を歩く個所があったり、登山道を覆うようにある樹木の向こう側は断崖だったりという個所があり油断なりません。(栂海新道に限ったことではありませんが。)
特に単独登山の場合、他の山と比べて、「ここで滑落したら恐らく見つけてもらうことはできないだろう。」と思える箇所が多かったように思います。また、登山者が少ないルートなので、他の登山者に助けを求めるということもあまり期待できない登山道だと思います。
少ない登山者
白馬岳から朝日小屋、朝日小屋から日本海ともに登山者はそれほど多くありませんでした。追い抜き、すれ違いを含めて、白馬岳~朝日小屋で10組ほど、朝日小屋~日本海も10組ほどだったでしょうか。単独か、多くて2~3人のパーティーでした。登山者が少なかった要因として、真夏だったからということもあるのかもしれません。
栂海新道を歩いてみてのまとめ
海なし県の長野県に暮らす僕にとっては、身近な登山口から歩き始めて海に向かうということで、とてもロマンあふれる山行でした。正直な話、犬ヶ岳から先は展望はほとんどなく、展望を楽しみに登山をする方には向いていない登山道です。展望を楽しみながらの縦走が良いと言うことであれば、親不知の栂海新道登山口を起点とし、終盤に白馬岳の展望を満喫されるのが良いと思いいます。
ただ、どこを登山の起点にしたとしても、アップダウンのあるハードな登山道ということに変わりは無く、展望がない区間はあります。
登山口までどうやって行くか、登山後はどうやって帰途に着くか、水の補給が容易でない中、アップダウンが続くハードな長距離縦走。
色々と下調べをする必要があったり、思っていた以上にハードな山行だったりということもあり、海にたどり着いた時にはここ最近の山行で味わったことの無い達成感に浸ることができた栂海新道の縦走登山でした。
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栂海新道に興味のある方は、まずは山と高原地図を眺めるところから。
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