2017年9月13日に皇海山(すかいさん)を日帰り登山済
悪路を運転する必要がある栗原河林道(群馬県側)からは登らず。
栃木県側の銀山平から皇海山クラッシックルートを歩きました。
アップダウンと鎖場、延々と続く背丈以上のササヤブ漕ぎ。
日本百名山の中でもトップクラスの難易度でした。
単独で歩くのは絶対に避けるべきルートです。
標高2144m
栃木県と群馬県にまたがる山。足尾山地。
登山ルート
皇海山クラシックルート
銀山平~庚申山~鋸山十一峰~皇海山~六林班峠~庚申山荘~銀山平の日帰り周遊
メモ:庚申山は南総里見八犬伝に登場する。
駐車場(銀山平公園)
10台前後 トイレ無し
国民宿舎かじか荘の改修工事に伴い、銀山平キャンプ場のトイレ、水場は使用不可。
※駐車台数は実際にカウントしたわけではないので大きく異なっている可能性あり。
※駐車台数は10台前後、20台以上、50台以上で分類。
※トイレの使用可否は未確認の場合あり。
インパクト満載だった皇海山クラシックルート
山と高原地図で破線(難ルート)を含むことと、背丈の笹薮漕ぎがあるルートなので、頼れる山仲間に声をかけての山行。
百名山登山の中で、この皇海山クラシックルートだけは一人で臨む自信がありませんでした。
皇海山は皇海橋からのルートが最短ですが、皇海橋までの栗原川林道(車道)が難路なようで、車で難路を行くか、登山で難路を行くかを検討し、登山で難路を行く道を選びました。
また、真の皇海山登山は、クラシックルートから行く皇海山だと思ったのです。
ちなみに、栗原川林道はすれ違い困難な未舗装路であり、車道の石が鋭角であるため、車の速度を出すとパンクをする恐れがあるようです。
また、落石などにより通行止めとなることもあるようです。
車を停めた銀山平
国民宿舎かじか荘が改修工事に伴い、隣接する銀山平キャンプ場の水場、トイレともに使用不可でした。
国民宿舎かじか荘も営業しておらず、日帰り入浴もできませんでした。
銀山平キャンプ場の駐車場から10分ほどで車両通行止めのゲートを通過
夜明け前の登山道も、山仲間(Nさん)と一緒だと、ひとりの時とは比べものにならない安心感です。
長い林道歩きとどこかで見た記憶がありますが、新穂高~槍ヶ岳などの林道歩きに比べれば大したことのない距離でした。
一の鳥居をくぐると登山道らしくなってきます。
百丁目
百一丁目
鏡岩
孝子別れの場という伝説が悲しいと聞いていましたが、個人的にはおとぎ話的な印象を受けました。
鏡岩
百六丁目
どことなく地獄の○○丁目の雰囲気・・・。
夫婦蛙岩(めおとかえるいわ)
裏側から見た方が岩が折り重なっているのがよくわかるように思いました。
仁王門
庚申(こうしん)山荘近くの青銅の剣
庚申山開山の祖 勝道上人(しょうどうしょうに)の碑
総延長1799kmにも及ぶ関東ふれあいの道は皇海山クラシックルートにも続いていました。
旧猿田彦神社跡
地元の松本市にも猿田彦神社がありますが関係があるのでしょうか。
奇石が立ち並び、コウシンソウの自生地を含む、お山めぐりコースの概観図。
お山めぐりコースで庚申山へ向かうのも魅力的でしたが、コースタイムが1時間30分ほど増えるのでNさんと検討の上、最短ルートで行くことに。
結果的には最短ルートを選んで良かったです。
お山めぐりコースを選んでいたら、復路もヘッドライトが必要になっていたと思います。
庚申山荘
宿泊された方1名がちょうど皇海山に向けて出発されるところでした。
この日は管理人さんは不在な雰囲気でした。
外トイレが利用可です。
庚申山荘前の足が高い椅子
庚申山荘玄関の注意書き
事前リサーチによると、毎年のように「笹が異常に繁殖」しているようです。
庚申山荘からほどなくの場所に水場が。
鹿の親子?
滝沢馬琴の南総里見八犬伝(1814年初版発行)の中に庚申山が登場するようです。
ロマンがあります。
初の門
初の門は撮る場所を間違えている気も・・・。
中央に足をおけなくて少し登りにくいハシゴが何ヶ所かにありました。
一の門
一の門はくぐって通過
大胎内もくぐって通過
遠く富士山が見えました。
庚申山(1892m地点)から鋸山までが破線ルートでしたが、1892m地点までも結構ルート不明瞭な箇所がありました。
おかしいと気付く観察力が必要です。
印象としては、本ルートがあるものの不明瞭なため、ルートを外れた踏み跡が所々にあるといった感じです。
(ルートを外れた踏み跡もいずれ本ルートに合流する場合が多かったです。)
中には、延々と本ルートから外れていくのでは?という踏み跡もありました。
どのような目印だったか記憶が曖昧ですが、随所に目印があったので、長時間、目印を目にすることが無かったら、ルートロスを疑った方が良いと思います。
三角点のような石柱に山の文字が。
庚申山までも結構な時間がかかりました。(午前4時頃に駐車場を出発して7時10分頃着)
ここからが本番です。
右のピークがまずこれから目指す鋸山(のこぎりやま)
一見、難なく行けるように見えますが・・・。
山と高原地図には記載されていない御岳山(鋸山十一峰)を通過
渓雲岳(鋸山十一峰)も記載されておらず。
薬師岳(鋸山十一峰)は記載されていました。
ここからが要注意の危険地帯です。
近づいた鋸山
鋸山から右に目を移すと、最終目的地の皇海山
庚申山を一峰とし、鋸山が十一峰となる鋸尾根はアップダウンの連続でしたが、鋸山からは不動沢のコルまで下り、そこから皇海山に登り返すことになります。
復路は、不動沢のコルから鋸山まで登り返し、鋸山からは下り基調で六林班峠に向かいます。
薬師岳から10分ほどで白山に到着。
いよいよ鋸山の様子が露わになってきました。
岩肌の外れにハシゴが見えます。(写真中央)
ロープのようなものも見えます。(写真中央)
男体山でしょうか。(写真右のピーク)
それでは鋸山へと向かいます。
行く先の見えない鎖を伝って下降します。
鎖を降りながら発せられるNさんの「うんっ?え~っ?」の声に僕の不安は募ります・・・。
ちなみにNさんは高所平気症なんじゃ?と思われるほどの岩場、鎖場好きです。
今シーズンは、皇海山の前に西穂からジャンダルムを踏破しています。
振り返る垂直に近い鎖。
今度はロープを頼りに登ります。
クラシックルートのロープは基本的にホームセンターで売られているロープです。
ホームセンターの安価なロープとはいえ、あるだけありがたいです。
ただ、あまりロープを過信しない方がよい固定状況に思えました。
ハシゴも安心とは言えない固定状況でありました。
剣ノ山
あまり記憶がありませんが、鎖が空中に垂れ下がっているように見えます。
多分、下降したと思います。
無事に鋸山山頂に到着
赤矢印の方向からやってきて、復路は六林班峠(ろくりんぱんとうげ)へと向かいます。
鋸山の山頂標と皇海山へ続く登山道は写真手前方向です。
鋸山の山頂標と皇海山
鋸山からは不動沢のコルへ向け下ります。
少し下ってから振り返る鋸山山頂方向
皇海山の名前の大元は山容が和ぐしに似ているところからきたようです。
それにしても、皇海を「すかい」と読むなんて、きらきらネームの先駆けではないでしょうか。
ホムセンロープを頼りに下ります。
伸縮性のあるクライミングロープよりも、ホムセンロープの方が安心感があるように感じました。手には優しくないですが。
色々と総合的に考えれば、断然、クライミングロープの方が良いに決まってますが。
(クライミングロープは結構高いです。僕は持っていませんが。)
復路では登り返さなければならない鋸山
登山前の事前リサーチで、普段はヤマレコは見ませんが、皇海山クラッシックルートは見る必要があると思いヤマレコをチェックしました。
ヤマレコでこの看板(不動沢のコルにあります。)を見ていたので、単独で臨むのは止めようと思いました。他にもいくつか単独を止めた要因はありますが。
不動沢のコルで皇海橋からの最短ルートと合流します。
不動沢のコルから皇海山山頂までは約70分。
アップダウンを繰り返してきた体に皇海山への最後の登りが待っています。
何故か鋸山にばかり目が行きます。復路で登り返さないといけないからでしょうか。
皇海山山頂直下の青銅の剣
最短ルートからはそれなりに登山者が登っていました。
二言三言を交わした方もいましたが、林道の状況を聞いてみれば良かったなと思います。
難路を車で踏破した方の、生の声を聞いてみたかったです。
皇海山山頂に到着
山梨県はお金がかかっていると思われる、山梨百名山の山頂標を設けていますが、栃木百名山の山頂板はアットホームでいい感じです。
調べてみたら、地元信州には信州百名山というものがあるようです。
日本百名山の次の目標に良いかもです。
Nさんとのツーショットも後ろ姿を貫き通すシャイボーイ。(もうおじさんですが・・・)
プライベートでDJをこなすNさんはポーズが決まってます。
展望のない山頂ですがここまでの険しい道のりがあったので感慨深い山頂です。
それに、皇海山は百名山登山の中で、3本の指に入る不安感=期待感を持って臨んだ山です。
何で山頂に机が?と思ったら方位盤でした。
恐らく方向はあっておらず、経年劣化?で現役を退いていると思われます。
展望は無いですが、皇海(スカイ)だけに空は綺麗です。
山頂碑であるとともに渡良瀬川水源碑でもあります。
森高千里の曲で渡良瀬川というのがあったような気が。
山頂では弟夫婦からの激励品第1号のカップヌードルを美味しくいただきました。
激励品カップヌードル
普段の山行では、グルメな山ごはんを作るNさんも、この日はさすがにインスタントでした。
たしかに、クラシックルートにはグルメな料理よりも軽量化が必要なのです。
皇海山山頂からはいい感じに不動沢のコルまで下山。
鋸山への登り返しとなります。
武尊山でしょうか。
鋸山の登り返しももう少しで登り切ります。
離れていく皇海山
日光白根山でしょうか。
皇海山と日光白根山と思われる山。
鋸山の登り返し完了。
そして、いよいよ六林班峠(ろくりんぱんとうげ)へと向かう笹薮漕ぎ地帯へ足を進めます。
早速、笹のお出迎えです。
パンダを連れてきたら大喜びしそうです。
左が皇海山で右が鋸山です。
往路では鋭角的な山容が印象的だった鋸山ですが、六林班峠へと向かう登山道から見ると丸みを帯びた山容です。
徐々に笹の丈が高くなってきます。そして、登山道が消えました・・・。
序盤は、覆い隠された倒木がいたるところにありました。
超えなければなりませんが、濡れていてとても滑ります。
背丈の笹が体に覆いかぶさるようになってきました。
Nさんとの距離が少しでも開くと、笹が邪魔してNさんの背中が見えなくなります。
完全に笹に埋もれるNさん。(正規のルート)
相変わらず時々ある太い倒木。
数種類の目印がルートを外れていないことを知らせてくれます。
比較的、等間隔に目印があったと思います。
目印と目印の感覚があまりにも長いと感じたら、ルートロスの可能性があります。
藪漕ぎをしてみての感想としては、
両手で笹の下の方をかき分けると、登山道(地面)を確認することができました。
基本的には、本ルートを通っていれば地面は笹ではなく、土です。
ただ、我々も所々、土の上ではなく、倒れた笹の上を歩いた箇所があります。
そこが、本ルートだったのか、本ルートを外れたルートだったのかは不明です。
倒れた笹の上を歩いているときはルートを外れていることを疑った方が良いと思います。
笹が倒れているということは、人が歩いた跡である可能性が高い(動物の可能性もある?)ですが、迷い歩いた跡である可能性があります。
笹をかき分けながら、常に木につけられている目印を探すというのが重要だと思いました。
そして、初の六林班峠ルートを単独で臨むのは絶対に止めた方が良いということを実感しました。
六林班峠に到着
黄色い看板の赤矢印(庚申山荘)は方向が間違っていたように思います。
黄色い看板に従うと、笹をかき分けたような跡と踏み跡のような跡がありますが、迷い跡だと思われます。(我々はそちらへは向かいませんでした。)
単独で臨んでいたとしたら、僕は恐らく迷い跡へと進んでいました・・・。
六林班峠はちょっとした広場(少人数が休憩できるくらいのスペース)になっています。
道に見えませんが左側からやってきたはずです。
庚申山荘への道は、写真右側の木の目印に向かって笹をかき分けて進んだと記憶しています。
六林班峠の広場から木につけられた目印が見えるので、そこに向かい藪漕ぎをします。
広場から2分以内にある看板①
広場から2分以内にある看板②
六林班峠から先も、しばらく藪漕ぎが続きました。
トータルで1時間30分~2時間ほどだったと思います。
(コースタイムより早めのペースで)
藪漕ぎが落ち着いてから先は、尾根をトラバースしている感じで、下山をしているという感じがしませんでした。
沢をいくつか渡りますが、ルート不明瞭な箇所が何ヶ所かありました。
また、ロープは張られていましたが、登山道が崩落していて気が抜けない箇所もありました。
言ってみれば、藪漕ぎが終わっても、庚申山荘までは気が抜けない登山道が続きました。
そして、何より、歩いても歩いても庚申山荘にたどり着きませんでした。
六林班峠から庚申山荘まで、コースタイムを上回るペースで歩けていたと思いますが、コースタイムくらいの時間を要しました。
(コースタイムが短すぎる?)
Nさんが登山アプリ(YAMAP)で現在地を確認するたびに、「見なきゃよかった。」とこぼしてました。
やっとのことで「庚申山荘まであと0.5km」の看板にたどり着きました。
手前には展望が良いらしい「天下の見晴」があるようですが、確認するまでもなくスルーです。
庚申山荘はゴールではないのです・・・。
仁王門で自撮りするくらいの元気はまだありました。
一の鳥居もゴールではないのです。
林道歩きを経て明るいうちに銀山平公園に到着。
Nさんの計測によると、歩行距離28.4km、行動時間13時間18分だったようです。
総合的に考えると皇海山クラシックルートは、日本百名山日帰り難易度ランキングベスト3に入るのではないでしょうか。
(他の百名山も難ルートを引っ張り出すとキリが無いかもしれないですが。槍の北鎌など。)
少なくとも、僕が82座目の皇海山までに歩いてきた百名山のルートの中では断トツの最難関でした。
頼れる山仲間との山行だったからこそ、無事に日帰りができた皇海山でした。
皇海山は百名山の中でも極めて地味だといわれることもあるようですが、
アドベンチャー要素満載、インパクト満載の皇海山でした。
皇海山の日帰り周遊登山は、日本百名山の完登で印象に残った山第3位です。
日本百名山の完登で印象に残った山第1位はこちらです。
日本百名山の完登で印象に残った山第2位はこちらです。
皇海山が掲載された「山と高原地図」
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このホテルに宿泊しました。 (皇海山登山の前日に宿泊)
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『日本百名山の100座すべての登山所要時間(登山レポート)』を、こちらで一覧にしています。
↑ 146日間で日本百名山を完登したときの登山所要時間(登山レポート)になります。
『僕の登山装備(登山ウェア含む)』を、こちらで一覧で紹介しています。お問い合わせいただくことが多いので。
僕はこの地図帳があったから、日本百名山を完登してみたいと思い、実際に完登をすることができました。
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『日本百名山登山地図帳をどのように使ったか』こちらで詳しくブログ投稿をしています。
『日帰り登山のノウハウ』を、こちらでブログ投稿しています。日本百名山の完登、毎週末の北アルプス登山で身に着けたノウハウになります。
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takaさん、順調でご無事のようで何よりです。
皇海山、伝統のコースを満喫されたようですね。13時間という事は日没ですかね。
景色は皇海山より鋸山。庚申山~鋸山は集中力と体力を要すなかなかのルートですよね。
疲れを取る間もないと思いますが、体と足元に気を付けて安全に100名山踏破を目指してください。
皇海山の登山開始は4時ごろで、
なんとか明るいうちに登山口へと戻ることができました。
皇海山は山頂からの景色を楽しむというよりは、
ルート上の様々なアドベンチャー要素を満喫する登山でした。
鎖、アップダウン、藪漕ぎ、六林班から先の延々と続く登山道などなど、
とてもインパクトのある登山となりました。
応援のお言葉ありがとうございます!!
これからは気温も下がってくるので、
天候を見ながら、無理せず登るようにしたいと思います。
takaさん
六林班峠も片道行ったのですね。それで時間が長いというわけですね。
好天が続くと良いですね。くれぐれもご安全に。
(わざわざ返信いりませんよ。)