松本市の山男です。
今回は、『富士山の弾丸登山が問題視される一方で、富士登山競走が歓迎される理由』について山トークをしていきます。
『弾丸登山をしないように呼びかけるのであれば、富士登山競走も開催を取りやめるべきだ』という意見を見聞きすることがあります。
まず、根本的な話として、
弾丸登山をする人と、富士登山競争(山頂コース)に出場する人とでは、『登山をする人』が大きく異なります。
富士山の弾丸登山をする登山者の多くは、富士山の厳しさを理解できておらず、体も鍛えていません。
一方で、富士登山競走山頂コースに出場する選手たちは、富士山の厳しさを知り、体を鍛えているランナー、登山者です。
仮に、弾丸登山をする人が、富士登山競走に出場したとした場合、まずもって完走することはできません。
逆に、富士登山競走山頂コースに出場する人は、ほぼ確実に、弾丸登山を安定的にすることができる、と思います。(リスクが無いということではありません。)
※僕の登山ブログをお読みいただく上でのご注意 → こちらからお読みください。
富士山の弾丸登山が問題視され、富士登山競走が歓迎される理由
①富士登山競走とは
②弾丸登山とは
③弾丸登山が危険な理由
④富士登山競走参加者が鍛え上げられている証し
⑤弾丸登山と登山競走のお金の話
⑥富士登山競争は歓迎されてます
富士山の弾丸登山が問題視され、富士登山競走が歓迎される理由
①富士登山競走(山頂コース)とは
山梨県の富士吉田市が主催の山岳レースで、 1948年から開催されており、2023年は、第76回目の大会でした(7/28開催)。
富士登山競争は、山梨県の富士吉田市役所をスタートして、富士山の吉田ルート山頂がゴールとなるレースです。
距離約21km、標高差約3000mをかけ登ります。
富士登山競走は下りの区間が一切無いレースのため、『日本一くだらないレース(下りがないレース)。』とも言わることもあります。
富士山の弾丸登山が問題視され、富士登山競走が歓迎される理由
②富士山の弾丸登山とは
富士山のおひざ元、山梨県富士吉田市のホームページに以下の記載があります。
『弾丸登山とは、富士山五合目を夜間に出発し、山小屋に泊まらず夜通しで一気に富士山の山頂を目指す登山形態です。』
山梨県富士吉田市ホームページ STOP!!弾丸登山!! (2023年7月19日時点掲載)
弾丸登山とは、0泊2日で登山をする形態ということになります。
富士山の弾丸登山が問題視され、富士登山競走が歓迎される理由
③富士山の弾丸登山が危険な理由
理由を端的に言うと、
厳しい気象条件の中で。
夜の登山道(岩場あり)を、日本一高い場所に向かい、一睡もせずに登る。
からです。
仮に、日ごろから鍛えており、登山力が高い人が弾丸登山をするとしても、上記の理由によりリスクの高い登山となります。
体を鍛えておらず、登山(富士山)の知識もなく、登山装備も整っていない登山者が弾丸登山をするとなると、リスクは跳ね上がることになります。
『富士山の弾丸登山が危険な理由』については、こちらでくわしくブログ投稿をしています。
富士山の弾丸登山が問題視され、富士登山競走が歓迎される理由
④富士登山競走(山頂コース)参加者が鍛え上げられている証し
富士登山競走は、山頂がゴールとなる『山頂コース』に出場するためには、『5号目コース』を決められた時間内に完走する必要があります。
具体的に言うと、初めての出場で5号目コースに出場し、定められた時間内にゴールをします。
定められた時間内にゴールをして、参加資格を満たすことができれば、2回目の出場から山頂コースに出場することができる。
といった感じになります。
定められた時間とは、下記のとおりです。
※第76回富士登山競争のホームページより抜粋
山頂コース参加資格の注意点
第70回大会、第71回大会、第72回大会、第75回大会のいずれかにおいて五合目関門(五合目ゴール)通過時間が2時間20分以内の実績のある者とする。
↑ 参加資格の詳細は、必ずご自身の目で、富士登山競走のホームページをご確認ください。
初めての富士登山競争の出場で、いきなり山頂コースにエントリーをすることはできません。
つまり、山頂コースに出場している選手たちは、決められた条件をクリアしている人達ということになります。
そして、5号目コースの決められた条件というのは、トレーニングをすることなしにクリアすることはできないレベルになっています。
5号目コースは、山頂コースと同じく富士吉田市役所をスタートします。
そして、登り基調のアスファルトのロードを約11キロ走ります。
その後、富士山の登山道をゴールの5号目まで登ります。
スタートから2時間20分以内で5合目のゴールまで登ることができれば、山頂コースの参加資格を得ることができます。
ちなみに、2時間20分という時間ですが、第76回大会では、男子でいうと、約1200人が走って、約590人が2時間20分を切っているという結果です。
およそ2人に1人しか、山頂コースの参加資格を得ることができないという結果ですので、2時間20分以内というハードルは、高いハードルであるということが言えると思います。
富士山の弾丸登山が問題視され、富士登山競走が歓迎される理由
⑤弾丸登山と登山競走のお金の話
山小屋に宿泊をしない弾丸登山では、基本的に富士山にお金が落ちません。
富士登山競走も、山小屋自体にはお金は落ちませんが、出場をする選手は、参加費(第76回大会の山頂コースは 19,000円)の支払いが必要となります。
参加費は、多くが大会の運営に使われているのだと思いますが、例えば、選手が乗るバス(ゴール後の5合目から富士吉田市内の駐車場まで)の費用などに充てられ、広い目で見れば富士山(富士吉田市)にお金が落ちるということになるかと思います。
また、富士登山競走の受付は、レースの前日にのみ行われます。
富士吉田市の近隣に住んでいる出場者以外は、受付終了後は富士吉田市付近に宿泊をする必要があるため、宿泊費、飲食費のお金が富士吉田市付近に落ちることになります。
富士山の弾丸登山が問題視され、富士登山競走が歓迎される理由
⑥富士登山競争は歓迎されてます
富士登山競争は、富士吉田市民に歓迎していただいており、富士山の山小屋の方からも歓迎されています。
※富士登山競争に5回出場したことがある僕の、個人的な感覚になります。
まず第一に、富士登山競争は、富士吉田市が主催の大会です。
開会式では富士吉田市長が、選手たちに向けて歓迎のあいさつをしてくださいます。
また、コース序盤、富士吉田市の商店街では、沿道から沢山の方が応援をしてくださいます。
コースの登山道区間では、山小屋の方も声援を送ってくださいます。
山梨では例年、登山競争の開催前後に、新聞、ニュースに好意的に取り上げられます。(すべてが好意的というわけではないかもしれませんが。)
富士登山競争は、富士吉田市民、山小屋の方々から歓迎をされている伝統の大会であると僕は感じています。
まとめ
以上、『富士山の弾丸登山が問題視され、富士登山競走が歓迎される理由』について、山トークをしてきました。
①富士登山競走とは
②弾丸登山とは
③弾丸登山が危険な理由
④富士登山競走参加者が鍛え上げられている証し
⑤弾丸登山と登山競走のお金の話
⑥富士登山競争は歓迎されてます
弾丸登山と富士登山競争は、登山をしない方や、あまり詳しくない方からすれば、同じように見えるかもしれません。
ここまで、山トークしてきたことにさらに加えるとすれば、富士登山競争山頂コースの制限時間は4時間30分です。
富士吉田市役所をスタートして、4時間30分以内で山頂のゴールにたどり着かなければタイムオーバーです。
徹夜で時
間をかけて登る弾丸登山と、4時間30分以内で登らねばならない富士登山競争。
富士登山競争は、弾丸を上回るスピードの、音速登山、光速登山ということになろうかと思います。
弾丸登山と富士登山競争が似て非なるものということを今回の山トークでご理解いただければ幸いです。
ただ、富士山のオーバーツーリズムという観点からすると、富士登山競争の在り方も検討が必要な時期に差し掛かっているのかもしれません。
それでは、また次の山トークでお会いしましょう!
『富士山登山(登山競争含む)について投稿した記事(僕の登山ブログ)』を、こちらで一覧にしています。
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