厳冬期の北アルプス乗鞍岳のエビのしっぽ

冬山登山のリスク【知っておくべき冬山の怖さ】

 
 
 
 
 
松本市の山男です。
 
 
 
今回は、冬山登山のリスクについて山トークをしていきます。
 
 
 
白銀の世界
 
 
 
踏みしめる雪の感触
 
 
 
 
 
冬山には、夏山には無い魅力があります。
 
 
しかし同時に、冬山には、夏山以上にリスクがあります。
 
 
僕は、冬の間は足繁く、北アルプス乗鞍岳(標高3026m)に通って登山をしてきました。
 
 
その経験から、身に染みている、『知っていないと命を落としかねない冬山のリスク』について、山トークをしていきます。
 
 
 
※僕の登山ブログをお読みいただく上でのご注意 → こちらからお読みください。
 
 
 
 
 

冬山登山のリスクと恐ろしさ

①低温
 
②濡れた後の急激な気温低下
 
③ホワイトアウト
 
④強風を伴うホワイトアウト
 
⑤トレース(雪の踏み跡)が消える
 
⑥雪崩
 
⑦滑落
 
⑧底冷え
 
⑨手の冷え
 
⑩スマホは使えない
 
⑪踏み抜き
 
 
 
 
それぞれについて、山トークをしていきます。
 
 
 
 
 
冬山登山のリスクと恐ろしさ①

低温

冬山登山というと、雪崩や滑落といったリスクが目立ちますが、最も身近なリスクが低温です。
 
 
雪山では、基本的に気温は常に氷点下で、そこに強風が加われば、体感温度がマイナス20度以下になる場合もあります。
 
 
低温と、雪、身を切る風に対応できるウェアリングが必要となります。
 
 
加えて、大切なことは、アクシデントにより身動きが取れなくなった時に、冬山の低温に耐えうることができるかになります。
 
 
十分な装備なしに冬山で身動きが取れなくなった場合、低温が命を奪っていきます。
 
 
常にそこにある空気が、常に触れている空気が、命を奪っていくことになるわけです。
 
 
なので、僕は冬山登山では、常に死に触れているとんだという感覚を忘れないように意識しています。
 
 
また、身動きが取れなくなった場合に備え、厳冬期用のダウンジャケット(モンベル)と、厳冬期用のシュラフを必ず携行しています。
 
 
 
 
僕はISUKA (イスカ)の厳冬期用シュラフを携行しています。
 
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冬山登山のリスクと恐ろしさ②

濡れた後の急激な気温低下

以前に、雪山登山中に、雨混じりの雪と、気温の高さからかいた汗とで、ウェア類が濡れたことがあります。
 
 
その後、下山中に急激な気温低下とともに強風に吹かれ、濡れたウェア類が凍りつき始めたことがあります。(暑さのため、ハードシェルは着ていませんでした。)
 
 
慌ててザックからハードシェルを出そうとするも、湿っていたインナーグローブ(ザックのジッパーを開けるため、アウターグローブは脱いだ状態)が瞬く間に凍りつき始めました。
 
 
指も瞬く間に感覚がなくなる中、何とかハードシェルを取り出して着ることができ、ことなきを得ました。
 
 
冬山では、急激な気温低下により、ザックの中の装備を出すことすら危うい状況になることがあります。
 
 
 
 
 
冬山登山のリスクと恐ろしさ③

ホワイトアウト

霧や雪煙により、視界が白一色になり、視界がなくなることをホワイトアウトと言います。
 
 
夏山登山でも、霧によってホワイトアウトに近い状況になることがありますが、夏山では地面は見えています。
 
 
なので、夏山で霧に巻かれても、地面を頼りになんとか歩くことができます。(要注意の状況ではあります。)
 
 
しかし、雪山でホワイトアウトした場合、足元も雪の白一色になります。
 
 
加えて、トレース(雪の踏み跡)が無い場合や、トレースが消えてしまうコンディションの場合、進むべき方向が全くわからなくなってしまいます。
 
 
以前に、とある山の山頂に着いた時は視界があったのに、強風とともに突然のホワイトアウトに見舞われてしまったことがあります。
 
 
ついさっき、つけてきた踏み跡は消され、どちらに進めば良いかがわからなくなり相当に焦りました。
 
 
かすかに残された自分の踏み跡を頼りになんとか、ホワイトアウトを抜けることができましたが、改めてホワイトアウトの恐ろしさを思い知らされたシーンでした。
 
 
 
 
 
冬山登山のリスクと恐ろしさ④

強風を伴うホワイトアウト

強風を伴う雪や、強風による雪煙などによってホワイトアウトした場合は危険度が増します。
 
 
どこに進めば良いのかがはっきりしない中で、体温と体力を奪う強風ににさらされることになる訳です。
 
 
焦りも加わり、生きた心地がしなくなります。
 
 
 
 
 
冬山登山のリスクと恐ろしさ⑤

トレースが消える

風のない穏やかな日の雪山登山であれば、登山ルートに踏み跡がある場合があります。
 
 
また、復路では、往路で自分がつけてきた踏み跡を頼りに下山をすることができます。
 
 
しかし、風が強い日の場合、往路で自分がつけた踏み跡すら消えてしまう場合があります。
 
 
スノーシューで、膝下くらいまで雪に沈みながらつけてきた踏み跡さえも、消えてしまう場合があります。
 
 
理由としては、風により運ばれてきた雪により、踏み跡が消されてしまう場合がほとんどです。
 
 
 
 
トレースが消える時の対応
 
僕の場合、風が強い日の雪山登山では、絶えず後ろを振り向き、自分の踏み跡が消されていないか常に確認をします。
 
 
ルート上に対象物や目印が少ない場所で、トレースがすぐに消えてしまうような風が吹いている時は、撤退をすることも大切です。
 
 
突如のホワイトアウトに見舞われる可能性もあるからです。
 
 
 
 
 
冬山登山のリスクと恐ろしさ⑥

雪崩

雪崩に巻き込まれると、何百キロもの雪の重みが体にかかる場合があります。
 
 
雪崩に巻き込また後に、仮に意識があったとしても、雪の中で、どちらが上で、どちらが下かわからない状況に陥っており、その上、体には凄まじい雪の重みがかかるわけです。
 
 
さらに、体の周りは雪で覆われており、雪によって体温は奪われていきます。
 
 
加えて、自分の呼吸により、顔の周りの雪が凍りつくアイスマスク現象が起きる場合があります。
 
 
アイスマスク現象が起きると、新鮮な空気は氷によって遮断され、窒息をする場合があります。
 
 
雪崩に巻き込まれるということは、極めて致命的な状況になります。
 
 
 
 
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冬山登山のリスクと恐ろしさ⑦

滑落

雪山では、場合によっては氷の滑り台を登り下りするような状況になることがあります。
 
 
加えて、強風を受けバランスを崩しやすい状況となることがあります。
 
 
アイゼン、ピッケルを使っていようとも、滑落する時は滑落します。
 
 
滑落し始めた体はスピードを増し、運が悪ければ露出した岩などに激突し、重傷を負うこともあります。
 
 
最悪の場合、命を失うことになります。
 
 
 
 
 
冬山登山のリスクと恐ろしさ⑧

底冷え

雪山では地面は雪で覆われています。
 
 
例えば、足を怪我してしまい立っていることができなくなった場合、雪の上に座ることになります。
 
 
雪の上に直に座ると、当然ながら体温が奪われていきます。
 
 
冬山では、空気もさることながら、地面によっても体温が奪われます。
 
 
雪の上に座ることになるシチュエーションも想定し、僕は必ずマット(サーマレスト)を携行しています。
 
 
完全にとは言えませんが、マットは底冷えを遮断してくれます。
 
 
 
 
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冬山登山のリスクと恐ろしさ⑨

手の冷え

僕だけかもしれませんが、冬山では指の感覚があっという間に無くなります。
 
 
冬山ではインナーグローブの上に、冬山用の厚いアウターグローブをするのが基本です。
 
 
しかしながら、装備をザックに入れたり、出したりする時や、写真を撮影する時はアウターグローブを脱いで、インナーグローブのみになります。
 
 
そうすると、瞬く間に指が冷えていきます。
 
 
常に風に吹かれている場合には、アウターグローブをしていても、指が冷えていきます。
 
 
指が冷えて感覚がなくなると、ザックを開け閉めすることや、ウェアのジッパーを開け閉めすることすら困難になることがあります。
 
 
そうなると、さらに気温が低下した時にウェアを着込むことが困難になり、危機的な状況に陥る可能性もあります。
 
 
 
 
僕が使用している雪山用グローブはこちらになります。
 
 
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冬山登山のリスクと恐ろしさ⑩

スマホは使えない

機種にもよると思いますが、氷点下になる雪山では、スマホのバッテリーが速攻で無くなります。
 
 
また、スマホを扱うということはアウターグローブを外して、インナーグローブになるということになります。
 
 
インナーグローブでスマホをいじっていると、瞬く間に指の感覚がなくなっていきます。
 
 
以上の2点より、雪山での写真撮影やアプリによる現在地確認は望ましいものではありません。
 
 
雪山ではスマホは使わず、万が一の緊急電話も想定し、バッテリーを温存しておくことが望ましいです。
 
 
 
 
 
冬山登山のリスクと恐ろしさ⑪

踏み抜き

低木や笹の上に雪が積もっている場合など、空洞がある層の上に雪が積もっていると、落とし穴状態になっている場合があります。
 
 
そのような場所では、足や体が深く沈み込むことがあり、脱出するのに体力を消耗します。
 
 
場合によっては、足や体がカッチリと雪にはまってしまい、脱出が困難になることもあります。
 
 
頻繁に踏み抜いてしまう場所にいるということは、登山ルートを外れている可能性もあるので、踏み抜かずに歩ける箇所を探ってみましょう。
 
 
 
 
 

まとめ 冬山登山のリスクと恐ろしさ

以上、冬山登山のリスクと恐ろしさについて山トークをしてきました。
 
 
①低温
 
②濡れた後の急激な気温低下
 
③ホワイトアウト
 
④強風を伴うホワイトアウト
 
⑤トレース(雪の踏み跡)が消える
 
⑥雪崩
 
⑦滑落
 
⑧底冷え
 
⑨手の冷え
 
⑩スマホは使えない
 
⑪踏み抜き
 
 
 
 
白銀の世界や、踏みしめる雪の感触など、冬山には夏山には無い魅力があります。
 
 
それと同時に、冬山には夏山には無い、命の危険に直結するリスクがあります。
 
 
今回お話しした、雪山のリスクについては、書籍や講習会で学ぶことを強くおすすめします。
 
 
同時に回避策も頭に入れた上で冬山登山に臨みましょう。
 
 
 
 
それではまた次の山トークでお会いしましょう
 
 
 
 
 
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『冬山登山のノウハウ【北アルプス3000m級の雪山登山の経験から】』を、こちらでブログ投稿しています。
 
 
 
 
 
『夏山登山のノウハウ』は、こちらでブログ投稿しています。日本百名山の完登、毎週末の北アルプス登山で身に着けた、冬山登山にも通じるノウハウになります。
 
 
 
 
 
『僕の夏山登山装備(登山ウェア含む)』は、こちらで一覧で紹介しています。お問い合わせいただくことが多いので。
 
 
 
 
 

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