2017年10月18日に聖岳(ひじりだけ)を日帰り登山済
メモ:聖岳は日本アルプス最南の3000m峰。
標高3013m
静岡県と長野県にまたがる山
登山ルート
芝沢ゲートからの日帰りピストン。
駐車場
20台前後 トイレ無し
※駐車台数は実際にカウントしたわけではないので大きく異なっている可能性あり。
※駐車台数は10台前後、20台以上、50台以上で分類。
※トイレの使用可否は未確認の場合あり。
樹林帯歩きが長く、森林限界を越えてからも長かった聖岳。
登山口へと向かう林道の崩壊が激しいという情報だったので、長雨の影響で駐車場までたどり着けるかがまずは不安でした。
終盤は未舗装箇所もあり、ここまでの百名山登山でも最も運転に神経を使うレベルの道でした。
とは言え、僕のハイブリッドカー(FF車)でも通れるには通れたので、ゆっくりと慎重に運転をすれば問題ないレベルです。
上の写真のゲートが一般車が入れる終点で、北又渡の芝沢ゲートということになるのだと思います。
芝沢ゲートよりも少し手前に駐車場の看板と駐車スペース、別のゲートがありますが、そちらは発電所駐車スペース(登山者用)になるのかなと思います。
芝沢ゲートの駐車場が満車の時に発電所の駐車スペースに停めるように看板に書かれていました。
ちなみに芝沢ゲートの駐車場にも発電所の駐車場にもトイレはありません。
2017年の夏は本当に雨が多かったように思います。
雨と雨の間の本当に貴重な晴れの日に聖岳に登ることにしました。
真夏であれば雨でも登山を決行することもありますが、10月も中旬で、例年よりも気温が低い日が続いていたので雨の日の3000m級登山は避けるようにしました。
易老渡(いろうど)の手前50mほどのところにある橋。
易老岳~光岳(てかりだけ)の登山道入口となる橋です。
光岳には聖岳を登山後に別日に登る予定でした。
その時には再び、芝沢ゲート駐車場までの神経を使う長い道のりを運転し、林道をここまで歩かねばなりません。
聖岳も長丁場ですが、光岳もひけをとらない長丁場です。
易老岳までは6時間、光岳までは8時間のようです。
ちなみに、光岳小屋は9月中旬までの営業のようです。
看板によると、食事の提供に年齢制限があったりするので、宿泊する場合には要事前確認です。
易老渡のあまやどり処と仮設トイレ。
芝沢ゲートの看板によると、芝沢ゲートから易老渡駐車場までは5.5kmとのことです。
林道はほぼフラットで、トレラン装備であれば走れます。
物理的には車も問題なく通れると思いましたが、車の通行を易老渡まで許可したとすると、易老渡の駐車スペースでは収容しきれないと思うので、そんな要因もあって一般車進入禁止になっているのかなと思いました。
芝沢ゲートの看板によると、芝沢ゲートから便ヶ島(たよりがしま:聖岳登山口)までは7.5km。
易老渡から進むことさらに2kmで便ヶ島ということになります。
便ヶ島の聖光小屋(休業中)。
易老渡から便ヶ島も物理的には普通車でも通れると思いましたが、易老渡と同じく、駐車場のキャパが十分ではないように思いました。
便ヶ島のトイレ。
水も流れ使用可能でした。
ただ、前に掃除がされてから1ヶ月以上は経っているような印象でした。
恐らく、トイレの前がテント場だと思われます。
ちなみにテント場と思われる場所にはヘビがいたので、僕のような軟弱登山者にはテント泊は厳しいと思いました。
水道は水が出ましたが、
「当分の間飲用禁止」とのことです。
便ヶ島広場の片隅に聖岳方面登山道入口がありました。
ここまでは林道歩きだったので、ここからが登山開始だと思いましたが、便ヶ島から西沢渡(にしざわど)までは遊歩道歩きといった感じで、登るというよりは平行移動でした。
トンネル
赤石岳・悪沢岳の時に歩いた、畑薙ダム~椹島間の、夜明け前の出口の見えないトンネルを思えば可愛いもんです。
滝の沢橋
滝の沢橋のすぐ脇の滝
土砂が押し出されている箇所がいくつかありましたが、しっかりと踏まれており、それほど問題はありませんでした。
西沢渡のロープウェイ
事前リサーチで、手動であるこのロープウェイを使っての川渡りが、とてつもなく疲れたという感想を複数、目にしましたが、ロープウェイのすぐ横に木の橋がありました。
木の橋を渡った方が断然、楽だと思います。
ロープウェイを使う人はアドベンチャー気分を味わうために使うのではないかなと思いました。
ちなみに、ワイヤーロープウェイ使用上の注意によると、ロープウェイは荷物専用とのことです。
川を渡り、斜面を少し登ると造林小屋跡があるので、当時、ロープウェイを使って、造林小屋に荷物を運び入れたり運び出したりしていたのかなと思いましたが、ロープウェイは新しい感じだったので、何のために作られたのか腑に落ちませんでした。
西沢渡で川を渡り、「聖岳」の看板を過ぎると本格的なきつい登りが始まりました。
とてつもなく大きなキノコ?でしょうか。
右の西沢渡方向から来て、左の聖岳方面へと進みます。
便ヶ島~西沢渡~聖岳という経路になります。
危険区域の注意喚起看板には岩場と記載されていましたが、岩場と言った感じとは少し違うように思いました。
ただ、危険区域であることに違いは無く、注意が必要でした。
幅の狭い登山道のすぐ脇が急斜面になっており、注意して歩けば問題ありませんが、万が一、バランスを崩し斜面側に落ちてしまうと無事では済まないと思いました。
苔が綺麗な登山道だな~と思って歩いていると、
苔平という名前が付けられていました。
苔が綺麗な樹林帯です。
芝沢ゲートの駐車場には車が7~8台停められていましたが、ここまで、他の登山者は一人もいませんでした。
静かな樹林帯歩き(登り)を満喫できましたが、広大な南アルプスの聖岳で誰にも会わないというのはなかなか心細い面もありました。
長い樹林帯を抜け薊畑(あざみばた)に到着。
薊畑からは、登ってきた道とは別の方向に20分ほど下ると聖平小屋、2時間30分ほど登ると聖岳山頂となります。
薊畑まで来て初めて人の気配が。ザックをデポして聖岳山頂に登っているようです。
偉そうなことを言える立場ではありませんが、綺麗にパッキングされたザックで置き方も綺麗なので、強者登山者だなと思いました。
前日は雨だったので、雨の中を登り、聖平小屋のテント場でテント泊をしたものと思われます。
薊畑から見上げる聖岳山頂方向
薊畑からではまだその全容が明らかにならない聖岳。
枯れた草が秋を実感させます。
南アルプス南部の聖岳といえども霜柱が。
富士山が近く大きく見えます。
小聖岳に到着。標が雨風雪ですっかり浸食されています。
小聖岳でやっと聖岳の全容を見ることができました。
山頂まではまだまだ遠く、標高差もありますが、山頂をロックオンすることができました。
小聖岳からは兎岳を綺麗に見ることができました。
兎岳は聖岳山頂から稜線でつながっています。
雄大な聖岳
左側に広範囲にわたって岩壁のように見えているのが、聖岳大崩壊地のようです。
振り返ると上河内岳。
とても存在感がある山で、はじめは光岳だと思っていました。
聖岳登山道から見る分には、上河内岳の方が百名山である光岳よりも存在感があるように思えました。
岩がむき出しです(登山ルート外)
わかりづらいですが、登山道を外れるように踏み跡がありました。
山と高原地図には記載されていませんが、水場のようです。
(飲用可なのかどうかは不明。特に表示なし。)
飲めるかどうかはわかりませんが、汲めるだけの水量はあるように思いました。
今回は10月も半ばということでそれほど喉は乾きませんでしたが、7~8月に聖岳に登るとなると相当量の水が必要だと思います。
便ヶ島から薊畑までは水場は無く、水場がある聖平小屋までは薊畑から往復50分(コースタイム)。
水の補給だけを考えても夏場の聖岳日帰り登山はハードなものだと思います。
登っているうちにどこが山頂なのだかわからなくなってきます。
それだけの懐の深さがある聖岳でした。
上河内岳がだいぶ低くなってきました。
あわよくば、聖岳~上河内岳~光岳を1日で周遊しようと思って今したが、聖岳を登っているうちに、それは無謀だと実感いたしました・・・。
挑戦するとなると僕の登山ペースだと、午前3時には芝沢ゲートを出発しないと厳しいなと思います。
それに、聖岳山頂からの展望はとても素晴らしかったので、短時間で聖岳山頂を後にして上河内岳へと向かうのはもったいないと思いました。
救助ヘリのように見えましたが、
救助のためではなくパトロールをしているような感じでした。
いくつかの山の山頂を周っているように見えました。
僕の近くも通ったので、手を振りたいところでしたが、遭難者が救助を求めているように見えてはいけないので止めておきました。
聖岳山頂に到着。長くきつかったです。
聖岳山頂から見る赤石岳。左奥に仙丈ヶ岳。
聖岳登山の1週間ほど前に赤石岳・悪沢岳を日帰りしましたが、展望が無かったので、登っていても全く山容がわかりませんでした。
赤石岳も聖岳に負けない雄大な山だということがわかりました。
仙丈ヶ岳にズーム
写真中央に小屋のような建物と登山道?が横に走っているように見えましたが、地図を見てもよく解らずでした。
彼方には北アルプス。
中央アルプスと御嶽山(左奥)
聖岳山頂標と赤石岳
写真中央右の丘のてっぺんから赤石岳山頂に向かって続いている尾根が、1週間ほど前に登った大倉尾根だと思われます。
肉眼では赤石小屋が見えました。
仙丈ヶ岳(中央奥)
記念自撮りミステイク。
聖岳山頂での記念自撮り。
薊畑から聖岳山頂までの登りで薊畑にザックをデポしていた登山者2人組とすれ違いましたが、この日に会った登山者はその2人だけで、山頂と稜線は独り占めでした。
そうそう来ることはないであろう聖岳山頂。
家からの道のりも、登山道も長い、遠い遠い山頂なのでよ~く触っておきます。
上河内岳方面
一番左が上河内岳で一番右が光岳?
それにしても赤石岳の存在感が際立ちます。
聖岳山頂からだと悪沢岳は赤石岳に隠れてしまっているようです。
聖岳山頂と富士山
時間が押していましたが、せっかくなので奥聖岳にも行ってみました。
往復で45分のようです。
奥聖岳までは富士山に向かって歩くような感じでした。
富士山でもまだ雪は積もっていないようです。
中央のピークが奥聖岳山頂です。
奥聖岳山頂と富士山
振り返る聖岳山頂
聖岳山頂から奥聖岳への登山道は雷鳥がいそうな雰囲気でしたが、残念ながら姿を見ることはできませんでした。
奥聖岳山頂標と富士山
山頂標にはしっかりと、特殊東海製紙の社有林アピールがされています。
聖岳山頂も特殊東海製紙の社有林のようです。
奥聖岳からは悪沢岳も見ることができました。
赤石岳の一部のようにも見えますが、中央右奥が悪沢岳だと思われます。
赤石岳山頂をズーム。右奥は悪沢岳だと思われます。
わかりづらいですが、中央に赤石岳避難小屋と思われる建物が写っています。
赤石岳に登った時は展望が無かったので、山頂からですら避難小屋を見ることはできませんでした。
この時は遥か遠くの聖岳山頂からでも避難小屋を見ることができました。
特殊東海製紙のものとは別の山頂標。
奥聖岳からの富士山。
赤石岳(左)と悪沢岳(右)
左奥に仙丈ヶ岳
上河内岳方面は、
雲に動きが合って綺麗でした。
赤石岳の脇に見えた、中央の双耳峰が気になりましたがよくわかりませんでした。
奥聖岳山頂標と富士山
聖岳山頂へと戻ります。
むき出しの岩の上を歩きます。
稜線上のケルンと赤石岳。
確かこの場所だったと思いますが、聖岳の山頂標がある場所よりも高いように思えました。
百名山登山1座目の丹沢から日本全国の百名山を一緒に歩いてきたモンベルクマ。
百名山の山旅も終盤になったので記念撮影です。
だいぶ雨風にもさらされたはずですが、山の住人であるクマだけに何の問題も無いようです。
百名山登山直前まで勤めていた職場のお姉さまに餞別でいただいたクマさんです。
登山口は長野県ですが、稜線上の黄色い看板には静岡県の遭対協(山岳遭難防止対策協議会)の名が記されていました。
山が別の県にまたがっていることは多いので、よくあることです。
矢印に従い、登ってきた道を下山します。
だんだんと上河内岳と同じ高さを歩くようになってきます。
薊畑へと続く尾根上の登山道が見えます。
砂礫の斜面なので気を付けないと滑ります。
気を付けていても時々滑りますが・・・。
尾根上の登山道がだいぶ近づいてきました。
上河内岳もだいぶ近くに見えるようになりました。
水が流れる岩の斜面。
真ん中で白くなっているのは、流れ落ちる水が凍ったものです。
流れている水が凍るということは、夜間は相当気温が低かったのだと思います。
万が一、行動不能となりビバーク(野宿)することになった場合、非常に厳しい状況下に置かれることになります。
(氷点下のビバークでもなんとか耐えられる装備は携行しているつもりですが。)
離れていく聖岳山頂。
本当にきつい登りでした。
兎岳
兎岳をズーム
聖岳左側の崩壊部分は本当に見応えがありました。
太陽が雲に隠れたせいか、上の写真とは明るさがだいぶ違います。
真ん中に映っている山が恐らく光岳ではないかと思います。
稜線をずっと左に進んでいくと上河内岳となります。
目立った感じの山ではないようです。
標高も、上河内岳が2803mなのに対し、光岳は2591mと200mほど低いようです。
登山口側から見て、聖岳から、
左に視線を移していくと
兎岳となります。
聖岳から兎岳にかけて聖岳大崩壊地が広がっていますが、広大過ぎて1枚の写真には収まり切りませんでした。
小聖岳からみる兎岳
薊畑付近から見おろす聖平小屋。
振り返る聖岳山頂方向
だいぶ雲が湧いてきました。
自分がいる場所よりも上河内岳の方が高くなりました。
きつそうではありますが聖岳から見ると、薊畑~上河内岳~易老岳~光岳は歩いてみたくなる稜線でした。
帰りの樹林帯は、重力に身を任せて降りれる感じで、サクサクと下山することができました。
登山道には落ち葉が降り積もっています。
往路では気が付かなかった、
西沢三角点
苔の綺麗な登山道です。
ジブリ的な雰囲気です。
もののけ姫のコダマ(木霊)が登場してきそうです。
苔
身を屈めなくても良い高さにあったので楽々と撮影することができました。
標高2000m。
1800m、2000m、2200mの表示があったと思います。
確かに滑落注意です。
ネットはところどころ切れていたのであまり頼ることはできない雰囲気でした。
そもそも頼ってはいけないものですが。
中央の枝に黒いリスが。
北海道の百名山で遭遇したリスたちは、僕の1~2m先でも平気で餌を食べていましたが、本州のリスは姿すらなかなか見せてくれません。
紅葉と苔
自然に苔の上に落ちていたものです。
登山道を覆う落ち葉
上を見上げると赤と緑が入り混じっています。
何やら罠が・・・。
随所に休猟区の看板があったので、罠には動物をとらえる仕掛けはされていないようでした。
以前に使われていたものがそのまま残置されている感じでした。
廃墟チックな西沢渡の造林小屋跡
昔使われていたと思われる、荷揚げ用?のワイヤー。
帰りもロープウェイは使わず、
木の橋を渡りました。
雷鳥の生息環境を守るためペットは持込禁止です。
法的拘束力は無さそうですが。
便ヶ島の登山者カード投函所
雨の時でも登山届を濡らすことなく書くことができます。
帰りもテント場と思われる場所にはテントは張られておらず。
長野県でも南部の飯田市ともなると浜松(静岡県)方面という表記が。
ああいい湯だな かぐらの湯
易老渡から道の駅遠山郷まで特定タクシーの送迎があるようです。(途中下車不可)
便ヶ島には衛星公衆電話がありましたが、タクシーを利用する場合には前日の午後4時までに予約するようにと書かれていました。
利用をする場合には、飯田市観光課 遠山郷観光振興係に事前に確認をした方が間違いなさそうです。
易老岳・光岳へと向かう時に渡る橋。
なかなかの高度感です。
易老渡~芝沢ゲート間には光橋(てかりばし)が。
何故、「ひかり」ではなく、「てかり」と読むのか謎ですが、それは光岳登山のブログ投稿をする時に調べようと思います。
事前リサーチではなかなかとらえどころが無かった、芝沢ゲート~易老渡~便ヶ島でしたが、
実際に歩いてみてその様子をつかむことができてスッキリしました。
何となく秘密のベールに包まれた区間と言うイメージでした。(個人的イメージ)
聖岳は樹林帯も森林限界を越えてからも長くキツイ登山道が続きましたが、そのきつさも納得の雄大さ、展望の良さがある山でした。
山中で会ったのは1組の登山者のみだったので、心細さはあったものの、広大な登山ルートに自分一人のみという、孤独な時間、孤独な空間を満喫することができた聖岳登山でした。
聖岳が掲載された『山と高原地図』
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『日本百名山の100座すべての登山所要時間(登山レポート)』を、こちらで一覧にしています。
↑ 146日間で日本百名山を完登したときの登山所要時間(登山レポート)になります。
『僕の登山装備(登山ウェア含む)』を、こちらで一覧で紹介しています。お問い合わせいただくことが多いので。
僕はこの地図帳があったから、日本百名山を完登してみたいと思い、実際に完登をすることができました。
日本百名山の登山をされる方におすすめ!
『日本百名山地図帳』山と渓谷社
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「日本百名山地図帳」は、登山ルートやコースタイムなどの確認に大活躍し、ボロボロになるまで使いました。
『日本百名山登山地図帳をどのように使ったか』こちらで詳しくブログ投稿をしています。
『日帰り登山のノウハウ』を、こちらでブログ投稿しています。日本百名山の完登、毎週末の北アルプス登山で身に着けたノウハウになります。
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