「富士山へ、0からの挑戦」
静岡県富士市が設定している富士山登山ルート3776に日帰りで挑戦しました。
(復路は富士宮5合目から市街地まで車で帰還。)
ゴールデンウィークには車でルートの下見を、6月には高鉢駐車場から剣ヶ峰まで、残雪の富士宮ルートを実際に登って下見した上で臨んだ山行でした。
2017年に日本百名山を巡っていた時、剱岳の馬場島の駐車場で、車のナンバーが富士山の標高である「3776」だった方と少しお話しをしたことがありました。
その方は、海から富士山に登ったことがあると、嬉しそうな顔で誇らしげに話をしてくださいました。
思えば、その時から、海からの富士山登山を思い描いていたように感じます。
『ルート3776を踏破するためのポイント』などは、こちらでまとめています。
9月14日から9月15日に日付が変わる頃、深夜の海岸をヘッドライトの灯りでうろちょろ。
近くのテトラポットの上で3~4人が夜釣りをしていたので、恐怖心も少し和らぎました。
釣り人からしたら僕はとても不気味な存在だったと思います・・・。
トレランシューズを濡らさずに海にタッチをするのは大変でした。
若干、トレランシューズを濡らしてしまいましたが、何とか海水をゲットすることができました。
海抜0から富士山頂まで運ぶ海水です。
真夜中の海岸というのはとても不気味なもんです。
「富士山へ、0からの挑戦」の起点となる鈴川の富士塚。
起点の富士塚で、スタンプラリーシートの1つめのスタンプをゲット。
深夜の富士塚。住宅街にあります。
肉眼では富士山が見えており、無数のヘッドライトの灯りもわかりました。
富士山0m出発点の旗。
長い長い道のりが始まることを実感。
序盤は、住宅街、工場地帯、幹線道路をひたすら歩きました。
吉原駅では線路下の地下道も歩きました。
僕の読図力では絶対にルートファインディングをすることはできません。
YAMAPさまさまです。
路面には時折ルート3776のペイントがされていました。
ルート3776を歩いていることの実感がわきます。
時折、このペイントを目にすることができなければ、単に深夜の富士市を徘徊しているだけのような感覚になることでしょう・・・。
工場地帯に、名称左富士が。
確かに夜空を背景にした富士山を見ることができました。
平家越
夜の街となっていた吉原商店街
酔っ払いとキャッチのお兄さんお姉さんをかき分けながら歩きました。
登山中では初めての経験です。
ザックを背負ったまま、ふらりと飲み屋のドアを開けたい気分になりました。
YAMAPとにらめっこしながら、ずんずんと夜の富士市を歩きました。
約2時間歩いて、登った標高は約48m。その割には疲れた気が・・・。
上の写真から約8分で30mほど登りました。
最終コンビニはまさに砂漠の中のオアシスです。
エネルギー源と飲み物を補給。
起点の富士塚でゲットしたルート3776挑戦者識別ステッカーをザックに貼りました。
最終コンビニから少し進むと、森の中のアスファルト道なので誰の目にも触れることはありませんが・・・。
2つ目のスタンプをゲットできる「よもぎ湯」。
富士市の推奨コースでは、1日目の宿泊地です。
ルート3776の下見に車で来た時に日帰り入浴をさせてもらいました。
「よもぎ湯」はアットホームな感じで良いお湯でした。
深夜の集落をヘッドライトの灯りでコソコソと歩きました。
よもぎ湯でスタンプゲット。
湿度の関係でしょうか?インクがスタンプシートから浮いてしまうので気を使いました。
最終コンビニ後の貴重な自動販売機ですが、水はありませんでした。
(最終コンビニから20~30分)
よもぎ湯のスタンプボックス脇にあります。
よもぎ湯から20分ほどのところにあった正真正銘の最終自動販売機。
ここからPICA表富士キャンプ場までは、飲み物の補給場所はありません。
スタンプなしの中継点。
よもぎ湯から先は月明かりさえも届かない森の中のアスファルト道をひたすら歩きました。
夜明け前の登山道は慣れっこですが、森の中のアスファルト道は苦手です。
ルートを外さないように集中する登山道とは違い、アスファルト道は別に集中しなくても歩けるので、余計な想像力を働かせる隙ができてしまいます。
霊的なものなどなど。
ほぼ満月(中秋の名月?)だったので、森を抜けると月明かりが。
天照教社まで1.5kmのところに、
ルート3776用の仮設トイレがありました。
スルーしたのでよくわかりませんでしたが、天照教社は神社仏閣のカテゴリーになるのでしょうか。
桜の名所のようです。
海からひたすら歩き、だいぶ富士山が近づきました。
それでもまだまだな距離ですが。
海をスタートして約5時間。
1000mを登りました。
村山口登山道入口?
長い長いアスファルト道ですが、夜も明けたのでリラックスして歩けました。
緩やかな登りとはいえ、登山装備でアスファルトの上を5時間以上歩くというのは肩にも足の筋肉にも相当な負担がかかります。
森の中のアスファルト道を延々と歩き、やっと富士山スカイラインに合流しました。
富士山スカイラインを行き交う車は相当なスピードが出ているので、ある意味最大の危険個所と言えると思います。(歩道無し)
2日目コースの宿泊地であるPICA表富士にやっと到着。
3つ目のスタンプをゲット。
PICA表富士に到着したのは午前6時過ぎ。
建物の中に従業員の方はいましたが、売店などはまだ営業前の雰囲気でした。
ここまでの道のりは夜間でそれほど気温も高くなかったので、飲料を補給する必要もありませんでした。
PICA表富士(表富士グリーンキャンプ場)まで来れば、富士宮ルート登山口までもう少しです。
雲ひとつない青空と富士山
やっと、いつもの距離感(富士登山競争など)の場所に富士山が見えてきました。
マイカー規制中は登山の起点となるであろう西臼塚駐車場を通過。
写真でよくよく見ると宝永山(右側のこぶ)から山頂まではなかなかな距離です。
(富士宮ルートは宝永山を横に通過して山頂まで登ります)
やっと旧料金所ゲートに到着。
PICA表富士からゲートまでは約5km。
海を出発してアスファルトの上をひたすら歩いて登ってきた疲労があるので、5kmがとても長く感じました。
旧料近所ゲートの右わきに登山口があります。
富士宮ルートの0合目?1合目?といって良いのでしょうか。
富士山スカイラインは上り線は全線駐車禁止ですが、混雑時は誘導員の指示に従って、下り線に駐車ができます。
僕も下り線に車をデポしてルート3776に臨みました。
海を出発して30km強。
ひたすらアスファルトの上を歩いてきましたが、ここに来てやっと土の登山道が始まります。
高鉢駐車場(富士宮ルート2合目)から剣ヶ峰までは、6月に下見で歩いたので、ここから先は勝手がわかっていたつもりですが・・・。
疲労無しで2合目から登山開始したのと、海から30km歩いた後に登山を開始したのではまったく勝手が違いました・・・。
旧料金所ゲートで、アスファルト道から急激に様変わりするルート3776
綺麗な森の中を歩きます。樹海ともいいますが。
6月の下見の時は、夜明け前の真っ暗闇の樹海を歩きました。
ガラン沢の道標
御殿庭から富士山頂まではこれまでの登山経験の中でも最高にキツカッタです・・・。
ルート3776(約42キロ)と同じくらいの距離の山行は北アルプスで毎年しています。
(累積標高がルート3776を超える山行も)
ルート3776がそれらの山行と何が違うかと言うと、30km以上のアスファルト道(登り基調)を歩いた後、平行移動がほとんど無い登山道をひたすら登るということです。
例えば、槍ヶ岳、穂高岳、剱岳などなど、険しい登山道ではありますが、時折、平行移動をすることができる箇所があります。
(ピークをトラバースして進んだり、地形的に水平な尾根など。)
止まって休むことはしないですが、それでも、平行移動できる箇所は歩きながら心肺や筋肉を休めることができます。
しかしながら、富士山は、7合目、8合目など、山小屋の前のほんの数十メートル以外はほぼずっと、ひたすらな登りが続きます。
長距離を歩いて疲労した体で、ひたすら登ること。日帰りでのルート3776のキツサです。
あまり聞きなれないですが、須山口登山歩道というようです。
振り返ると、海からだいぶ歩いて登ってきたことが実感できる景色となってきました。
御殿庭から富士宮6合目の山小屋までは地味にきつい登り。
写真じゃわかり辛いですが海がだいぶ遠くなりました。
あそこから歩いて登ってきたのか~
スタート地点の海岸に目印があればわかりやすいんですが。
6合目までは、スピーディーに登れない&足の筋肉にめちゃくちゃ負担がかかるタイプの登山道。
海から、市街地を歩いて、樹海を歩いて、登ってきてを実感できる光景
写真に収まり切らない宝永火口。
下見した時の復路で登った宝永山
宝永山は浅間山と同じく、ガトーショコラタイプの山肌
下見の時に登ったこの登山道も、全然進まないタイプの登山道で本当にキツカッタです。
6合目まで、キツイ・・・。
歩いてきたはずの樹海をクローズアップ。
やっと、6合目の宝永山荘に到着
山小屋の方に声をかけ、4つ目のスタンプを押して、ルート3776スタンプラリーをコンプリート。
山小屋の外にスタンプ台があるかと思っていましたが、小屋の中のレジの隣にありました。
飲み物を補給。キンキンに冷えたお茶が最高に美味しかった~。
スタートから約10時間30分。
気圧差で膨らんだカロリーメイトを補給。
普段は行動時間14時間くらいの山行であれば、登山中に口にするのは山頂カップヌードルだけです。
ルート3776では、この時点で10時間30分ほど歩いたにも関わらず、山頂カップヌードルの前にまだまだ本格的な登りがあったので久々にカロリーメイトを補給しました。
海を出発して雲の上までやってきました。
毎年登っている吉田ルートもそうですが、富士宮ルートも綺麗な雲海を眺めることができます。
やはり、富士山登山は雲を眺めることができるのが、ひとつの見どころだな~と思います。
8合目(たぶん)の鳥居。これより、頂上浅間大社の境内となります。
山頂まではまだまだです・・・。
雲もだいぶ低くなってきました。
やっとの思いで、富士山頂に到着。
頂上浅間大社奥宮
9月半ばの富士宮ルートは思っていた以上にたくさんの登山者がいました。
営業している山小屋は6合目だけでしたが、登山道を登り下りする登山者が200~300人はいたと思います。
雲ひとつない富士山の山頂
ここまで残雪の無い富士山の火口は初めて見ました。
日本最高峰富士山剣ヶ峰まで最後の登りとなる馬の背
別の惑星に来たかのようです。
日本一高いところにある
「馬の背」の柵
海からはるばる12時間30分ほどかけて富士山頂へ。
日本最高峰富士山剣ヶ峰に到着
日本最高峰富士山剣ヶ峰とルート3776ステッカーをつけたザックを記念撮影
海から富士山頂まで運んできた海水。
海抜0mからの日帰り富士登山を達成。(海~富士山~海の完全達成ではないですが。)
海水を持って富士山頂で記念撮影
ルート3776はアスファルト区間が大半なので、いつものトレランシューズではなく、アスファルトを快適に歩けるトレランシューズで歩きました。
トレランシューズでの登山についてのブログ投稿はこちら
疲労から、珍しく胃がなかなか受け付けてくれなかったカップヌードル。
登山中に食べたカップヌードルのアルバムはこちら
海を午前12時頃の出発だったので、暗い時間帯は点滅ライトが大活躍でした。
海水を富士山頂へ。
海から日本一高い場所まで歩き切りました。
ルート3776の前々日に30km走をしていたのもあってか、思った以上に体力を消耗したルート3776。
体力的に迷いましたが、ここまできたらせっかくなのでお鉢めぐりへ。
太陽を遮る雲が無く、風も無いに等しい状態だったので、予想外にとても暑かった富士山頂
南アルプスの山々
お鉢めぐり途中に記念自撮り
本当に真っ青な空でした
たしか八ヶ岳
肉眼では見えた北アルプス
様々な山から富士山が眺めらているであろう登山日和です。
火口には本当にわずかな残雪
普段の富士登山でお世話になっている河口湖(富士吉田)方面
今年は久々に富士登山競争5合目コースに出場しました。来年は2度目の山頂コースに参加予定。
山頂コースは数年前に完走経験がありますが、僕的にはルート3776の日帰り登山の方がきつかったです。
山中湖は雲の下で眺めることができませんでした。
今年は石垣が崩れて通行止めになったり、痛ましい落石事故があった吉田ルート。
日本最高峰にヤンマー。
ブルドーザー
登山者がほとんどいないように見えた吉田ルート。
ここ数年、毎年欠かさず歩いていた吉田ルートですが、今年は一度も歩きませんでした。
(富士登山競争で5合目佐藤小屋までは登りましたが。)
毎年恒例の、金鳥居からの日帰り富士登山に代わるルート3776です。
日帰りで海まで戻る挑戦もしてみたいですが・・・。
旧料金所ゲートから海までのアスファルトを歩いて戻ることにあまり意味を見出せません。アスファルト道は車の往来がある中、歩道が無い区間も長いので危ないというのもあります。
正真正銘、海~富士山頂~海を制限時間24時間で踏破するマラニックイベントもあるようです。
本当に辛かった登山道も下りはあっという間です。
あっという間に6合目雲海荘まで戻ってきました。
富士宮6合目~5合目は観光客の姿も多かったです。
やっぱり富士山は大きいです。
前日に車をデポしておいた富士宮5合目に無事に到着。
色々と下調べをして、下見をして、計画を練って臨んだルート3776。
登山の行程はもちろん、登山口にアプローチするまで、登山口から宿に戻るまで、一筋縄でいかない山行というのは、とても印象深い登山となります。
真夏に歩いた栂海新道登山とともに、富士登山ルート3776は一生モノの登山となりました。
栂海新道登山のブログ投稿はこちら
北アルプスから海へと歩いた栂海新道登山、海から日本最高峰富士山剣ヶ峰へと歩いたルート3776。
2019年の無雪期は、海にまつわる一生モノの登山を2つ、山旅の記録に加えることができました。
『ルート3776を踏破するためのポイント』については、こちらでブログ投稿をしています。
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『富士山登山についての記事【僕の登山ブログ】』を、こちらで一覧にしています。
『日帰り登山のノウハウ』をこちらでブログ投稿しています。日本百名山の完登、毎週末の北アルプス登山で身に着けたノウハウになります。
『僕の登山装備(登山ウェア含む)』をこちらで一覧で紹介しています。お問い合わせいただくことが多いので。
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