冬の乗鞍岳登山(剣ヶ峰)のポイント【厳冬期の北アルプス登山】

 
 
 
 
 
厳冬期の乗鞍岳登山についてまとめてみました。
 
 
乗鞍岳は、僕の冬のホームマウンテンです。
 
 
僕の個人的見解であるということと、天候、雪質などのコンディションにより状況は一変するということにご留意ください。
 
 
また、積雪期の剣ヶ峰を目指すには完全雪山装備が必要です(軽アイゼン不可)。

 
 
 
冬の乗鞍岳最高峰剣ヶ峰は登頂できるチャンスに恵まれることはそうはありません。
 
 
乗鞍岳に限ったことでは無いと思いますが冬山登山は、登山直前の積雪の有無、天候、雪のコンディションに大きく左右される山行となります。
 
 
特に乗鞍岳剣ヶ峰は、晴れた日でないと登ることはまずできないと思った方が良いです。
 
 
少なくとも、僕は快晴の日以外の冬の乗鞍岳に登れたことはありません。
 
 
また、例え晴れていたとしても、尋常でない強さの風が吹くこともあれば、スノーシューを履いていても進むことがままならないラッセルとなることもあります。
 
 
剣ヶ峰登頂のためには晴れていることが絶対条件であり、風や雪質などの条件に恵まれなければ登るのは非常に困難です。
 
 
僕の感覚的なものですが、冬の間に松本市から乗鞍岳を望むことができる日は1週間に1日~2日ほどだと思います。
 
 
その1~2回が週末に重なることはそうは無いように思うので、晴れた日の登山という条件を満たすだけでもそうそうあることではないです。
 
 
4月の残雪期になると割と登りやすくはなりますが、スキー場の営業が終了しているのでリフトの利用ができません。(残雪期でも剣ヶ峰に登るには完全雪山装備が必要です。)
 
 
雪がある時期の乗鞍岳は登山者よりも、バックカントリースキーヤー&スノーボーダーで賑わっていることが多いように思います。(厳冬期に剣ヶ峰まで登るスキーヤー&ボーダーは少ないように思います。)
 
 
剣ヶ峰まで登る時期と、ツアーコースから先でバックカントリーをする時期としては、12月初旬以降が良いかなと思います。
 
 
11月下旬は雪が積もり切っておらず、ツアーコースを進む際、樹林をかき分けながら進まなければならない場合があります。
 
 
ちなみにMt乗鞍スノーリゾートは12月初旬に営業開始となることが多いと思います。
(スキー場の営業期間開始直後のカモシカゲレンデは非圧雪でリフトは動いていません。)
 
 
 
※僕の登山ブログをお読みいただく上でのご注意 → こちらからお読みください。
 
 
※このブログ記事は2018年に投稿したものを修正した記事です。
 
※内容は基本的に2018年当時のものです。
 
※スキー場内の登山可能箇所などについては、Mt乗鞍スノーリゾートのホームページ等で最新の情報を確認してください。
 
 
 
 
 

ルートの概要

休暇村乗鞍高原~ゲレンデ~三本滝レストハウス~カモシカゲレンデ~ツアーコース~トイレ小屋~肩の小屋~蚕玉岳~剣ヶ峰
 
 
※リフトを使用する場合は休暇村乗鞍高原よりも下の駐車場に停めた方が良いと思います。
 
 
 
 
 
 

乗鞍岳剣ヶ峰への所要時間

休暇村乗鞍高原からリフトを使わず、休憩をせずで、剣ヶ峰までは、僕のペースで5時間ほどかかります。
 
 
往復の所要時間は僕のペースで約8時間30分です。
 
 
※25キロオーバーの装備ですが恐らく一般的な所要時間よりはだいぶ早く歩けていると思います。
 
 
 
 
 

基本的な装着物

スノーシュー : 三本滝レストハウスから肩の小屋まで
 
 
アイゼン・ピッケル : 肩の小屋~剣ヶ峰の往復
 
 
下山時は肩の小屋からゲレンデ中段までスノーシュー。ゲレンデ中段から休暇村乗鞍高原からは登山靴のみ。(詳細は後述)
 
 
 
 
 

休暇村乗鞍高原~ゲレンデ~三本滝レストハウス~カモシカゲレンデトップ

カモシカゲレンデのトップまではリフトを使用することも可能だが、リフトの営業時間を待つと登山開始が遅くなる。
 
 
各リフトの始動時間は午前9時前後。(2018年時点)
 
 
厳冬期に日帰りでの剣ヶ峰アタックをする登山者は暗いうちから登山を開始するケースが多い。
 
 
三本滝レストハウスまではゲレンデが分岐している箇所があるが、基本的にはなだらかな方を選んで登っていくのが良い。(初めての場合は先行者のトレースを辿るのが無難ですが、トレースが無い場合が多いです。)
 
 
下山時はリフトに乗ることができないので、復路のためにゲレンデの分岐を覚えながら進んだ方が良い。(僕自身、車を停めた駐車場とは別の駐車場に下山してしまった経験あり。)
 
 
スキー場の営業期間内はゲレンデが圧雪されているためそれほど苦労せずに登ることができる。(リフト稼働時間内のゲレンデを登るのは危険。)
 
 
カモシカゲレンデはスキー場の営業開始期間直後(プレオープン期間など)は、圧雪されていない場合がある。
 
 
圧雪されていないカモシカゲレンデはスノーシューを履いていても登るのが困難。
 
 
カモシカゲレンデは、圧雪された状態でも斜度があるためスノーシューを履いた方が登りやすい。(浮力を得るためでなく、滑り止めとしての効果。)
 
 
リフトが動き始めてからのカモシカゲレンデクライムは、スキーヤー、スノーボーダーと交錯する可能性があるのでやめたほうが良い。
 
 
三本滝レストハウス
 
Mt乗鞍スノーリゾートの三本滝レストハウス
 
営業時間外はトイレ使用不可。営業時間は午前9時~15時30分。(2018年時点)
 
 
 
 
 

カモシカゲレンデトップ~バックカントリーコース(ツアーコース)

カモシカゲレンデ
 
Mt乗鞍スノーリゾートのカモシカゲレンデ
 
 
圧雪された部分を歩くのが良い。(リフト稼働時間内のゲレンデを登るのは危険。)
 
 
上級者向けコースなので斜度がある。(写真で見る以上の斜度がある。)
 
 
ゲレンデトップから先はスキー場外となる。
 
 
ゲレンデトップの看板
 

 
スキー場の営業開始期間直後(12月初旬)はまだ看板が設置されていない場合あり。
 
 
 
2020年にカモシカコースのゲレンデトップに追加された注意喚起の看板。
 

 
 
 
乗鞍岳最高峰の剣ヶ峰からの下山中に滑落が多発しているとのこと。
 
冬の乗鞍岳下山時の滑落のリスクを周知する看板
 
剣ヶ峰からの下山時はアイスバーン状態になっている箇所があるため、実感としても滑落のリスクが高い。
 
 
 
看板右上の木の無い斜面を登ってツアーコースへと入る。
 

 
この斜面を登るのが非常にきつい。急登ラッセルとなることが多い。
 
 
 
ツアーコースには①から⑥までのナンバリングがある。
 
乗鞍のバックカントリーコース(ツアーコース)のナンバリング
 
所々に急斜面があるが滑落の恐れがある斜面ではない。
 
 
 
バックカントリーコース(ツアーコース)
 
乗鞍のバックカントリーコース(ツアーコース)
 
両サイドが樹林帯なので風の直撃を免れることができ、ルートロスをする心配がほとんど無い。
(荒天時は風の直撃を受けることもある。)
 
 
ツアーコースの⑤から終点付近の間で幕営している登山者を時々見かける。
 
 
 
 
 

ツアーコース終点~肩の小屋

ツアーコース終点を直進すると肩の小屋方面、右に目印に沿って進むと位ヶ原山荘となる。
(位ヶ原山荘の営業状況は要事前確認)
 
 
必ず看板を一読。
 
乗鞍のバックカントリーコース(ツアーコース)終点の看板
 
看板は12月初旬に設置されていると思われる。
 
 
上の看板の右側に位ヶ原山荘へと続く目印あり。
 
乗鞍の位ヶ原山荘へと続く目印
 
看板は12月初旬に設置されていると思われる。
 
 
 
破線がツアーコースから冬季乗鞍岳(剣ヶ峰)へと続くルート。
 
冬の乗鞍岳へ登るルートを説明した看板
 
 
 
剣ヶ峰を目指すには、目印側ではなく、看板を直進方向に進む。
 
 
ツアーコース終点から先は自分の判断で進路を決めることになる。
 
 
トレースはないと思った方が良い。
 
 
ツアーコース終点から雪原に出るまでは急登ラッセルとなることが多い。(個人的な感覚では雪崩が起きてもおかしく無い地形のように思う)
 
 
ツアーコース終点から剣ヶ峰までは荒天の場合、吹きさらされることとなる。
 
 
目標物がない大雪原であるため、視界のない状況で歩くのは極めて危険。
 
 
復路の天候も考えながら進退の判断をする必要がある。
 
 
強風時は、スノーシューのトレースも消される。
 
 
 
 
 

トイレ小屋~肩の小屋

トイレ小屋
 
乗鞍のトイレ小屋
 
トイレの使用は不可。
 
 
 
時々、トイレ小屋周辺で幕営をしている登山者を見かけるが、翌日が荒天となった場合、視界のない中をツアーコース終点まで戻ることとなるので非常に危険だと思う。
 
 
トイレ小屋から肩の小屋までは、岐阜方面から松本方面に向かって強風が吹いていることが多い。
 
 
そこそこの傾斜があるので地味にきつい。
 
 
肩の小屋を経由せずに稜線へと向かう登山者もいる。
 
 
肩の小屋は冬季は営業していない。
 
 
冬季小屋の有無は未確認。
 
 
肩の小屋(中央に肩の小屋)
 

 
左方向の剣ヶ峰と右方向の摩利支天(コロナ観測所のレーダードームあり)を結ぶ鞍部に肩の小屋がある。
 
 
肩の小屋付近には綺麗なシュカブラ(風紋)ができていることが多い。(それだけ風が強いということを意味する。)
 
乗鞍岳のシュカブラ(風紋)
 
 
 
肩の小屋付近から真横に見る朝日岳がとても美しい。
 

 
 
 
 
 

肩の小屋~剣ヶ峰

トレースは無いと思った方が良い。
 
 
雪のコンディションを見極めて自分でルートを決める必要がある。
 
 
肩の小屋~剣ヶ峰は雪崩と滑落に注意が必要。
 
 
一般的には肩の小屋から朝日岳山頂を左に巻く形で稜線に出て、蚕玉岳を経由して剣ヶ峰へと登ることが多いと思われる。
 
 
山頂からは槍ヶ岳、穂高岳、北アルプス裏銀座の山々、白山、南アルプス、御嶽山、八ヶ岳などを見渡すことができる。
 
 

乗鞍岳からの効率的な下山について

剣ヶ峰からの下山は個人的には肩の小屋を経由せず、蚕玉岳と朝日岳の間の斜面からトイレ小屋に下山することが多い。
 
 
注意喚起の看板によると、剣ヶ峰からの下山時に滑落をするケースが多いようなので注意が必要。
(やわらかい雪とアイスバーンが混在している。)
 
 
復路のスキー場内は、スキーヤー&スノーボーダーで賑わうゲレンデを下山させてもらうので、交錯しないように注意が必要。
 
 
特にカモシカゲレンデを下山するときに注意が必要。
 
 
 
 
 

乗鞍岳からの僕の下山パターン

剣ヶ峰~肩の小屋

アイゼン、ピッケルを使用。
 
 
柔らかい雪とアイスバーンが混在しているので細心の注意が必要。
 
 
 
 

肩の小屋~ゲレンデ中段

スノーシューを装着。
 
 
雪原~ツアーコース終点は明確な目印がないので注意が必要。
 
 
スキー場内はゲレンデを下山せずに、リフトの下を下山。
(ごく少数だがスキーヤー、スノーボーダーが滑ってくるので注意が必要。)
 
 
※リフトでの下山は不可
 
 
 
 

ゲレンデ中段~休暇村乗鞍高原

登山靴には何も装着せずにピッケルのみ使用。ピッケルはゲレンデを降りる時以外は不要。
 
 
スキーヤー、スノーボーダーとの交錯を避けるため、できるだけリフトの下をおりるのが無難。
 
 
 
 
 

剣ヶ峰まで登らなくても絶景を目にすることができる冬の乗鞍岳

僕は我が家から1時間ほどで乗鞍岳に行くことができるので、どんな天気予報であってもとりあえず乗鞍岳に向かい、晴れていたら剣ヶ峰にアタックするといった感じで乗鞍岳登山に臨んでいます。
 
 
休暇村乗鞍高原からツアーコース終点まででも非常に良いトレーニングになるので、晴れていない場合はツアーコース終点付近で引き返すことにしています。
 
 
 
晴れた日の乗鞍岳では、剣ヶ峰まで登らずとも、バックカントリーコース終点の少し先まで登れば青い空のもと、白い大雪原の向こうに乗鞍岳を望むことができ、すばらしい絶景を眺めることができます。
 
 
 
 
 
 
ゲレンデに隣接している『休暇村乗鞍高原』
 
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『僕が乗鞍岳を雪山登山の行きつけにしてきた理由』について、こちらでブログ投稿をしています。
 
 
 
 
 
『冬山登山のノウハウ【北アルプス3000m級の雪山登山の経験から】』を、こちらでブログ投稿しています。
 
 
 
 
 
『夏山登山のノウハウ』は、こちらでブログ投稿しています。日本百名山の完登、毎週末の北アルプス登山で身に着けた、冬山登山にも通じるノウハウになります。
 
 
 
 
 
『僕の夏山登山装備(登山ウェア含む)』は、こちらで一覧で紹介しています。お問い合わせいただくことが多いので。
 
 
 
 
 

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